新・ことば事情
4402「ウジャジャケる」
堀田善衛『方丈記私記』を読んでいたら、
「ウジャジャケなくていい」
という表現が出てきました。たぶん、
「おちゃらけなくて」
とか、
「グチャグチャにならなくて」
とか、そんな感じの意味ではないかと推測しますが、正確な意味はわかりません。この、
「ウジャジャケる」
とは、どんな意味でしょうか?辞書を引いてみました。
『精選版日本国語大辞典』で「うじゃじゃける」を引くと、
「『うじゃける』を見よ」
と矢印が付いていました。用例だけ載っていて、
* 雑俳・末摘花(1776-1801)四「うじゃじゃけたやうに女はおやす也」
と江戸時代の用例があります。歴史のある言葉ですね
で、「うじゃける」を見ると、
「熟したくだものなどが裂け、くずれる。ただれた状態になる。また、だらしない様子になる。うじゃじゃける」
とあり、用例は『改正増補版英語林集成』(1886)で、
「イチジクガ ウジャケル(中略)ウジャケタ ナリヲ シテイル」
でした。結構古くから使われていた言葉なのですね。今も使っているのかな?
『デジタル大辞泉』にも「うじゃじゃける」が載っていて、同じように用例だけ、
「目は死んだ魚のよう、なんの光もなく、白くうじゃじゃけている」(志賀直哉『暗夜行路』)
「うじゃじゃけ放題うじゃじゃけていた最中である」(久保田万太郎『春泥』)
と出ていました。「うじゃける」の意味は2つ載っていて、
「① 果実が熟れすぎてくずれる。また、傷跡などがただれて、くずれる。うじゃじゃける。(例)『ザクロがうじゃける』『傷口がうじゃける』。②態度や身なりがだらしなく、くずれている。だらける。うじゃじゃける。」
とありました。
ちょっと今度、使ってみようかな、「うじゃじゃける」。