新・ことば事情
4396「ドドメ色」
佐野洋子さんの『私はそうは思わない』(ちくま文庫:1996、2、25第1刷・2010、11、25第12刷)を読んでいたら、佐野さんと友人の会話の中に、
「あんたドドメ色になっている」
「ドドメ色って」
「汚いウンコに泥を混ぜたみたいな色」(127ページ)
というように、
「ドドメ色」
という色の表現が出てきました。「ドドメ色」って・・・聞いたことはあるけれど、どんな色なんでしょうか?なんとなく想像はできてはいるのだけれど・・・。
この言葉、普通の辞書には載っていないんじゃない?
案の定、『広辞苑』『明鏡国語辞典』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』『新潮現代国語辞典』『新明解国語辞典』には、
「土留め」
しか載っていませんでした。
しかし!『三省堂国語辞典』にはちゃんと載っていました!!
「どどめ色」=(どどめ=桑の実)暗い赤紫色。
あ、そうです、そうです、「どどめ色」はそうです!赤紫!寒さで「霜焼け」になりそうな足の先とか、内出血しているような色とか、"なんだか痛そうな色"なんです!
あ、そうすると『広辞苑』には、「どどめ」が載っていたな。
「どどめ」=(栃木・群馬県などで)桑の実
佐野さんの友人は、栃木か群馬出身なのかな?しかしそうすると、その友人が言った、
「汚いウンコに泥を混ぜたみたいな色」
は、ちょっとイメージが違うんだけどなあ。
わ!こんなことを考えながら喫茶店にいて、ふと隣に座っているおじいさんを見たら、
「カレー」食ってた!ヒヤーッ!