新・ことば事情
4394「日向水」
2011年6月7日の毎日新聞朝刊の4コマ漫画、「アサッテ君」に、民家の屋根に据え付けられた「太陽光発電装置」と「似たようなものが昔もあったんだよ」と言うおとうさん(おじいちゃん?)の発言で、4コマ目に描かれていたのは、縁側と庭に出された「たらい」に水を張って、お日様の熱を吸収してあっためる、
「日向水」
でした。「ひなたみず」とルビが振ってありました。
ああ、たしかに。あったような気がする。太陽の恵みですねえ・・・自然エネルギーそのものです。昔懐かしい言葉を見て、心が温まりました。
『広辞苑』では、
「日向水」=①日向にあって暖かくなった水<季・夏>②なまぬるい水
『三省堂国語辞典』では、
「日向水」=ひなたに置いて、自然にあたたまった たらいの水。
と、ちゃんと「たらい」が出てきました。
『新潮現代国語辞典』『明鏡国語辞典』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞林』は『広辞苑』と同じような語釈。『精選版日本国語大辞典』の用例に出ていた、辻弘想『開化のはなし』(1879)では、「ひなたみず」を、
「暴水」
という漢字で書いてありました。ちょっと危ない感じ。
『新明解国語辞典』『岩波国語辞典』には、見出しがありませんでした。