新・ことば事情
4387「とんでもハップン」
先日のこと、「ミヤネ屋」の芸能担当のディレクターから質問の電話がかかってきました。
「『とんでもはっぷん』という言葉を知っていますか?」
街頭インタビューで、そう答えた人がいたというのです。
「知ってるよ」
と答えると、今度は、
「『はっぷん』は『平仮名』か『カタカナ』か、『数字と漢字で「8分」』か?」
という質問です。そこで、こう説明しました。
「これは『とんでもない』と、英語の『What happened?』(何が起こったんだ?どうしたんだ?)がくっついたもので『とんでもハップン』と『カタカナ書き』します。」
私の机の上にある、梅花女子大学・米川明彦教授編『明治・大正・昭和の新語・流行語辞典』(三省堂)によると、これは戦後学生の間で使われていた「流行語」で、1950年(昭和25年)獅子文六の新聞連載小説『自由学校』の中で若い男女の会話の中に使って流行語になった、と。
女「ハマ(=横浜)へ遊びにいく意志なんか、全然、ありもしないのに、そんなこといってサ。あんた、今日ピンチなんでしょう。ピンチならピンチと、正直に仰有(おっしゃ)いな。あたしは、持ってるのよ。ハマで中華料理ぐらい食べたって、平チャラなのよ」
男「飛んでも、ハップン!いけませんよ、ユリーにチャージさせるなんて・・・」
女「それが、きらい!そんなヘンな形式主義、ネバー・好きッ!」
というふうに使われているそうです。(なお「ネバー・好き」は「好き」の否定形で、意味は「大ッ嫌い」)
つまりその時代(1950年代)に若者だった人たち(推定年齢78歳前後)が、今も使い続けている、ということでしょうか。その後、
「とんでもハップン、歩いてジ(ュ)ップン(10分)」
というようなギャグも生まれました。
これ、先輩のMアナウンサーに、会社に入った頃、さんざん教えられた言葉でした。
ね、Mさん!