新・ことば事情
4378「腹にすとんとおちる」
『大学の下流化』(竹内洋、NTT出版:2011、4、19)という本を読んでいたら、こんな表現が出てきました。
「人生の半ばを過ぎた者には、腹にすとんとおちる。」(146ページ)
ここに出てきた、
「腹にすとんとおちる」
というのは、普通は、
「腑に落ちる」
と言うのではないでしょうか?
Google検索(6月13日)では、
「腹にすとんと落ちる」= 992件
「腹にすとんとおちる」= 2件
「腹にストンと落ちる」=3650件
「腹にストンとおちる」= 6件
と、数は少ないながらありました。ちなみに、
「腹に落ちる」=133万0000件
「腹におちる」= 3万3000件
と、「すとん」「ストン」を落としたら、えらいたくさん出てきました。続いて、
「胃の腑に落ちる」=1万3700件
「胃の腑におちる」= 128件
「腑に落ちる」= 36万2000件
「腑におちる」= 4万7400件
ここでようやく辞書を引いて見ましょう。『広辞苑』。あ、いきなりあった!
「腹に落ちる」=納得する。合点がいく。腑に落ちる
うーむ。あったか。しかし、『精選版日本国語大辞典』『三省堂国語辞典』『新明解国語辞典』『明鏡国語辞典』『岩波国語辞典』『新潮現代国語辞典』には載っていませんでした。「腹に一物」は載ってるんだけどな。(「腹に一物、両手に荷物」は載っていません。)
その一方で、『デジタル大辞泉』には載っていました。
「腹に落ちる」=なるほど葬だと思う。納得する。得心する。(用例)「手紙を差し上げますよ、口で言って、貴方の腹に落ちないかと困るから」(小栗風花『青春』1905~06)
ふーむ、100年以上前にありましたか。
ということで、皆さん、すとんと腹に落ちましたか?