新・読書日記 2011_090
『ことばから誤解が生まれる~「伝わらない日本語」見本集』(飯間浩明、中公新書ラクレ:2011、5、10)
年に1、2回は酒を酌み交わす中の飯間さんの最新刊。「できたら贈ります」と言われていたのだが、会社帰りに家の近くの書店で見つけた。
「少しは売り上げに貢献できるかも。早く読みたいし」
と購入、家に帰ると、ちょうど飯間さんからも届いていた。・・・1冊は後輩に読ませます!
本書では「聞き間違い」から生まれる誤解を最初に書いている。例えば、
「先生に『鍛え直しだ』と言われた」
と母に伝えると、
「良かったねえ、『期待の星だ』なんて」
と言われたとか、眼鏡屋さんで店員にいきなり、
「ムショクですか?」
と聞かれて、思わずムッとしながら、
「公務員です!」
と答えたら、
「いえ...レンズの色は"無色"ですか」
と言われたとか、手術に関する話題のときに「(手術を)しなくてもよい」の意味の大阪弁で、
「しんでもいいわ」
と言われて、
「死んでもいいわ」
の意味に聞こえてドキッとしたりという、具体的な例がどっさり!
私も甲南大学の授業(マスコミ言語研究)で、1,2年前から必ずやるようにしているのは、「言い間違い」について。糸井重里さんの『言いまつがい』の例を紹介したり、アナウンサーの失敗談を紹介したりし、また『言い間違いはなぜ起こるか』(寺尾康=静岡大学の先生)から、その原因を分析したりという感じですが、飯間さんのこの本の内容って、同じことの「ウラオモテ」みたいですね。
「聞き間違い」の方は、話している人は正しく言っているのに、それが同音異義語やらで正しく意味が伝わらないという側面が問題であると。
そういった「ディス(あるいはミス)コミュニケーション」を防ぐにはどうすればいいか?「言葉のコミュニケーション(伝達)度合いの効率」を上げるためには?ということを考えるのに、絶好の一冊ですね。こういったことを、常にこれだけ一生懸命に考えている飯間さんという人は、本当に「誠実」な人だと思いました。