新・ことば事情
4364「哄笑」
ブログの読書日記に、
「哄笑みたい」
と書いたところ、アメリカに住むI先輩からメールをもらいました。
「(笑)という表記、が「口偏に山書いて虫」の「わらい」みたい。哄笑というか・・・。」
とありますが、「哄笑」は、わっはっはと高笑い、大笑い、爆笑することだと思うので、
文意にはそぐわないのではないでしょうか。むしろ、「嘲笑」とか「失笑」のほうが適当ではないでしょうか。また、知りませんでしたが、「口偏に山書いて虫」に「笑」を続けて、「ししょう」という言葉もあるそうです。なんか、笑いがダブっているような気がしますが。
おお、なんとなく書いてしまったが・・・改めて「哄笑」の意味を辞書で引いて確かめてみました。
「哄笑」
=大口をあけて声高く笑うこと。大笑。おおわらい。(広辞苑)
=大口をあけてどっと笑うこと。(明鏡国語辞典)
=(大ぜいが)どっと笑うこと。たかわらい。(三省堂国語辞典)
=(「哄」は多くの人が一斉に発する声)その場に居合わせた人びとが無遠慮に笑う声。(新明解国語辞典)
=大声を上げて高らかにわらうこと。大笑(タイショウ)。(新潮現代国語辞典)
=大口をあけて笑うこと。大声で笑うこと。たかわらい。(精選版日本国語大辞典)
やはり「哄笑」は「大きな笑い声」だったのですね。意味を取り違えていました。すみません。よく考えたら「洪水」の「洪」ですから「大きな」イメージですよね。
なお、「笑っている人の人数」について触れているのは、『三省堂国語辞典』と『新明解国語辞典』だけでした。
しかし、こうして辞書を引いてみると「こうしょう」と読む単語(熟語)、多いですねえ。『広辞苑』では、49語も載っていました。ちなみに『明鏡国語辞典』は18語、『三省堂国語辞典』は21語、『新明解国語辞典』は22語、『新潮現代国語辞典』は23語でした。『精選版日本国語大辞典』はなんと68語ものっていました!なお『広辞苑』の49語は以下の通り。
口承・口誦・工匠・工商・工廠・公相・公称・公娼・公証・公傷・巧匠・巧笑・甲匠・
交床・交渉・交鈔・交睫・・考証好尚・行省・行粧・行障・行賞・厚相・厚賞・咬傷・
哄笑・後章・後証・洪鐘・紅晶・校章・降将・高声・高姓・高尚・高承・高昌・高商・
高唱・高(足へんに従の旧字体)、黄鐘・康正・康尚・鉱床・綱掌・講頌・講誦・
「皐羽翔」
という具合に、パソコンではなかなか出にくい字も含めて49語でした。こんなに同音異義語が多いと、変換ミスが増えるなあ・・・と言うより、知らない単語も多いなあ。
ところでその「口偏に山書いて虫」という漢字ですが、いま、「わらう」で変換したら・・・簡単に出ました。「嗤」です。なんでこの前は出なかったのだろう?
それからI先輩ご指摘の、
「ししょう(嗤笑)」
ですが、『精選版日本国語大辞典』に載っていました。
「ししょう(嗤笑)」=あざけり笑うこと。嘲笑(ちょうしょう)。冷笑。
「わらい」一つを取ってみても、色んな意味を含んだ笑いがあるものなのですねえ。