新・ことば事情
4363「自治体の『治』」
「ミヤネ屋」で新聞を紹介する「ヨミ斬りタイムズ」のコーナーを担当しているYアナウンサー(横浜出身)が、
「自治体」
という言葉を言うときに、
「ジジタイ」
と聞こえるのです。関西の年配の人の言い方のようです。本人は、
「しっかり、ジ『チ』タイと発音しています」
と言っているのですが、やはり「ジ」に近く聞こえる。
原因は何だろうか?と考えていたら、ピンポーン!と思いつきました。
本来「自治体」の「治(チ)」は「無声音」(=母音を伴わず、子音だけの音)なのですが、Yアナウンサーは「有声音」で「チ」と言っていたので濁って「ジ」に近い音になっていたのでした!つまり、しっかり力を込めて「チ」と言えば言うほど「ジ」に聞こえるという悪ジュン環です。
しかしY君、関東出身なのに無声化、できないのかな。最近の若い人は、無声化を使っていないみたいですね。母音を大切にする関西の人のようなしゃべり方が定着しているからでしょうか。言葉の関西化が全国的に進んでいるようです。
『曲がり角の日本語』(岩波新書)を著した水谷静夫先生に言わせると、これも「曲がり角の日本語」の一例なのでしょうね?水谷先生は「発音」には踏み込んでらっしゃらなかったですけど。