新・読書日記 2011_086
『安全。でも、安心できない・・・~信頼をめぐる心理学』(中谷内一也、ちくま新書:2008、10、10)
「赤福」の事件が世に出たのは2007年の10月だった。「安全」だと言われても「安心」できない。あの"事件"では、たしかに誰も命を奪われることはなかった。その後も食品の「偽装」が相次いだ。それより前にも耐震偽装などが相次いで、実際に命を奪われるようなことがなくても「信用できない」「安全ではないのではないか」という気分が世の中に蔓延した。
この本では「安全」と客観的に保証されても「安心」できないのはなぜなのか?を「信頼を巡る心理学」の側面から探っていく。
「完全な安心は無理」「信頼を得るためのマネジメントとは」「価値観と信頼感の関係は?」「不安感情という要因」など、複合的に「安全と安心」の関係に切り込んでいく。
結局、人々の信頼を得て、人々の感情と向き合っていくことが大切なのだ、それは日々の行ないから現れるのだという"基本"に立ち返るのである。
いま、福島原発の放射能漏れ事故を前に、改めてこの本の内容をかみ締めてみる。
star3_half