新・ことば事情
4357「午前3時20分前」
きょう(5月4日)の読売テレビのお昼のニュース(関西ローカル)を見ていたら、コンビニ強盗のニュースで、発生時刻を指して、
「きょう午前3時20分前」
という表現が出てきました。
これは、ニュースでは本来使わない表現です。なぜなら、この表現が指す具体的な時刻が、
<1> 午前2時40分
<2> 午前3時19分頃
の2種類の意味に取られかねないからです。
「前」が使えるのは「正時」(例:1時、2時、3時など長針が「12」を指す時刻)だけにすべきです。
ただし「正時」といっても「(午前・午後とも)0時」(=いわゆる12時)は避けましょう。以前、
「きょう午前0時前」
という原稿があって、
「それは『きょう』じゃなくて『きのう』やろ!』
と怒ったことがありました。
過去の例としては、平成ことば事情930「きょうの出来事」の「追記」で、2005年4月15日にこう書いていました。
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電車の中で、2004年12月16日に発行された「夕刊フジ」を読んでいた時のこと。
平沼拉致議連会長の私設秘書(41歳)が、
「12月13日深夜」
に、東京都港区の中華料理店に入り店員に暴力をふるい逮捕されたとのこと。それで暴力をふるったのは、
「翌14日午前零時前に」
と書かれていました。これはおそらく、
「13日午後11時55分頃」
のことなんでしょうね。コトが行われている間に日付が変わってくる、「足掛け2日」状態だということのようです。「14日」と書かれているけど「13日」の出来事です。
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私自身は子どもの頃には、よく、
「9時10分前」(=9時8分頃のこと)
という表現を使っていましたが、両親に、
「それは違う!」
と直された覚えがあります。理由は、上に書いたのと同じでしょう。
「時刻」は、1つの表現で、聞いた人が間違いなく知る必要のある言葉ですので、ひとりよがりの表現はやめた方が無難です。