新・読書日記 2011_068
『僕はいかにして指揮者になったのか』(佐渡裕、新潮文庫:2010、9、1第1刷・2010、12、30第4刷・単行本は1995、7はまの出版・2001、6新潮社OH文庫)
こんなにおもしろい、興味深い本があるなんて、全然気付かなかった!文庫になってからも目にしなかったのはなぜだろう?たまたま入った楽器屋さんの「楽譜コーナー」で見つけて購入。今年読んだ本の中で1、2を争うおもしろい本。一気に読んだ。
佐渡さんは、私と同い年。とは思えないけど、同い年。しかも関西(京都)出身なので、共感できる部分が多い。こんな軽やかな関西弁の文体で書けるというのはすごいと思う。なんと言っても、かのバーンスタインが"関西弁"をしゃべってるんだから。(バーンスタインの英語を、佐渡さんは関西弁で訳しているのだ!)
佐渡さんが指揮者になるまでの「運命の糸」がどのように引っ張られていたのか、そのあたり「青春の書」として、若い人にも読んでもらいたい。我々おじさんから見ても「そうそう、そうだった」とワクワク・ドキドキするような感じの本だ。特に(クラシック)音楽好きな人にとっては!
ここに出てくる指揮者(既に亡くなっているが)岩城宏之さんや山田一雄さんの指揮で、私は大学時代合唱団の一員として歌ったことがあるので、親近感があった。書かれていることも「そうそう」とうなずけるところも多かった。また、バーンスタインには残念ながら会ったことはないが、1982年にアメリカの「シカゴ音楽祭」に出たときに、バーンスタイン作曲の曲を歌ったこともある。難しかったけど。
そのバーンスタインや、小澤征爾、山田一雄、岩城宏之といった超一流の指揮者のいろんなエピソードが楽しかったです。
最初の方に書かれていた、マーラーの「交響曲第5番」第4楽章を早速、聴いてみました。指揮はバーンスタインではなく、家にあったのはジェームズ・レバインでしたが。良かったです・・・。チャイコフスキーの「交響曲第5番」も、いいです。眠ってしまうぐらい・・・。
「マーラーが好き」という点で、佐渡さんと私は共通点があります。でもマーラーの5番で私が聴いていたのは、第1楽章冒頭のトランペットのソロの部分でした。第4楽章、とってもいいです。知りませんでした。ありがとう。
佐渡さんが指揮するコンサートを、聴きに行きたくなる一冊です。