新・読書日記 2011_082
『新訂 方丈記』(市古貞次校注、岩波文庫:1989、5、16第1刷・2011、3、15第37刷)
西暦1200年前後、今から800年ほど前の鴨長明の時代も地震や風水害が日本を襲っていた。
貴族の時代(平安)では治まりきらなくて武士の時代(鎌倉幕府)に移ったことの原因の一つに、「天変地異」や「疫病」の流行があったのではないかと、『方丈記』を読めば思う。しかも京都・奈良といった"都"ではない場所=鎌倉で。
そんな時代の片隅で不遇をかこち、「世捨て人」の目で写した世の中のよしなしごとを綴った『方丈記』。「方丈」の部屋は、まるでタイムマシンのように、平安・鎌倉の世の中の出来事を21世紀の現代に伝えてくれる。これを読んでおれば、「想定外」なんて言葉は出てこないはずだ。
高校の古文の教科書で読んだのは、ほんの最初の方だけだったが、全体でも47ページほどしかなく、すぐに読める。「古文」と意識することも、ほとんどなった。ただ、「注」が付いているのがほとんど「研究」のための文献紹介で、普通の読者への解説になっていないところ多いのが、悔やまれる。もっと分かりやすい「注」の『方丈記』を書けるのではないかと思いました。それにしても、「第37刷」ですよ。教科書として使われているのか?すごいな。ロングセラーです。
star4