新・ことば事情
4351「『止める』は『とめる』か『やめる』か?」
4月4日福島第一原発で、低濃度の放射能に汚染された水を海に流す作業が始まったことを受けて、地元の漁協が、
「断固として海洋投棄は停止するよう強く抗議する」
という趣旨のファクスを東京電力あてに送ったと、4月5日の読売新聞夕刊に出ていました。ここで一つ問題。
「汚染水放出『止めて』」
という見出し、本文では、
「止めてもらいたい」
とあり、これを、
「とめて」「とめてもらいたい」
と読みました。下読みの時点で、
「やめて」
ではないか?と思って調べたところ、新聞では「やめて」の場合は漢字(「止」)を用いず、平仮名で「やめて」とすることになっていることから、これは「とめて」と読むのであろうと判断。担当アナウンサーにはそう指示しましたが、やはり「見出し部分」はちょっと違和感がありました。漁師さんたちは、
「汚染水の放出をやめて=放水をとめて」
と思っているのでしょう。「放水」であれば「とめて」、「放出」であれば「やめて」かなあとも思いますが、「逆でもOK」のような気もします。なかなか難しいです。