新・ことば事情
4345「コレクティブとディシプリン 2」
去年の4月、ちょうど1年前に書いた「平成ことば事情3954」の
「ディシプリンがありコレクティブにプレーする」
では、サッカー日本代表・前監督(当時)イビチャ・オシム氏の著書『考えよ!~なぜ日本人はリスクをおかさないのか?』(角川Oneテーマ21)の中で、
「コレクティブ」「ディシプリン」
という言葉が頻繁に出てきたけど、意味がわかりにくかったと書きました。
あれから1年。南アフリカワールドカップも終わってから9か月たって読んだ、
『日本代表の冒険 南アフリカからブラジルへ』(宇都宮徹壱、光文社新書:2011、2、20) という本の209ページに、サッカー「アメリカ代表」の特徴として、「コレクティブ」が出てきました。
「アメリカのスタイルとは、攻撃も守備も集団で戦うこと、そして手数をかけずに縦へ縦へと前進していく姿勢である。とりわけそのコレクティブなサッカーは、世界で最も個人主義が強いと言われるかの国にあって、非常に特異に映る。」
というもの。ここから意味を察すると、
「集団で闘う」「手数をかけず縦へ縦へと前進していく姿勢」
というのが「コレクティブ」だと読み取れます。もう少し読み進むと、もう少し説明がありました。(210ページ)
「中盤を非常にコンパクトにして、まるでバスケットボールのように目まぐるしいパス交換を駆使しながら、何度となくチャンスを演出していた。ただし、彼らの組織立った攻撃に対して、ガーナもまた統一感のある堅い守備で対抗。」
なるほど、
「バスケットボールのような目まぐるしいパス交換」
も「コレクティブ」のイメージなんですね、きっと。
ちょっとわかった感じです。
さらに読み進めると、なんと同じ210ページに「ディシプリン」も出てきたではないですか!アメリカと戦った「ガーナ代表」の特徴です。
「それにしてもアフリカ勢で、これほどディシプリン(規律)がとれた守備をするチームは、果たしてどれだけ存在するのだろうか。」
これは( )の中に「規律」と、意味を書いてありました。
アフリカのサッカーは、概して「ディシプリンがない」と言われますからね。ガーナ代表は、そうではなかったということですね。だから「ベスト8」に残れたんだな。