新・ことば事情
4340「イカナゴ?コウナゴ?」
4月5日、茨城県沖のコウナゴ(イカナゴ)から、放射性セシウムが1キロあたり526ベクレル検出(暫定基準値は500)され、茨城県は、漁協に出荷見送りを要請しました。
前日4日には、北茨城市沖で取れたコウナゴ(イカナゴ)から1キロ当たり4080ベクレルの放射性ヨウ素131が検出されたと報じられました。
その魚の表記ですが、大阪の朝刊(5日)は、
(読売)コウナゴ(イカナゴ) ~見出しは「イカナゴ」
(毎日)コウナゴ(イカナゴ)
(産経)コウナゴ(イカナゴ)
(日経)コウナゴ(イカナゴの稚魚)
(朝日)イカナゴ(コウナゴ)
でした。『広辞苑』では、
「こうなご(小女子)=イカナゴの別称。またその佃煮などの加工品。」
「いかなご(玉筋魚)=イカナゴ科の海産の硬骨魚。体は細く槍形、全長25センチメートル。背部は青褐色、下腹部は銀白色。春、小さいのを捕って煮干・佃煮とする。俗にカマスゴという。夏には砂の中にもぐって休眠。北日本に多く、九州まで分布。小女子(こうなご)。」
とありました。
「平成ことば事情1075 イカナゴ」「平成ことば事情1665 キビナゴ」もお読みください。
(追記)
翌日4月6日の朝刊各紙は、
(読売)コウナゴ(イカナゴの稚魚)
(毎日)コウナゴ
(産経)コウナゴ(イカナゴの稚魚)
(日経)コウナゴ(イカナゴの稚魚)
(朝日)イカナゴ(コウナゴ) ~見出しは「イカナゴ」
で、前日と比べると、読売が、
「コウナゴ(イカナゴ)~見出しは「イカナゴ」」→「コウナゴ(イカナゴの稚魚)」
というように「日経新聞型」に変わり、毎日新聞も、
「コウナゴ(イカナゴ)」→「コウナゴ」
と丸カッコだった「イカナゴ」が脱落、産経は、
「コウナゴ(イカナゴ)」→「コウナゴ(イカナゴの稚魚)」
と「日経・読売型」になり、日経は「コウナゴ(イカナゴの稚魚)」と変わらず、朝日も、
「イカナゴ(コウナゴ)」
のままでした。「イカナゴ」を使っているのは「朝日」だけになりました。テレビ各社も、
「コウナゴ」
でやっていたようです。おそらく関東(茨城)では「コウナゴ」と呼ぶのでしょう。
なお、「ミヤネ屋」をはじめ読売テレビ・日本テレビ系列でも、
「コウナゴ」
でしたが、字幕スーパー(テロップ)をチェックしていたら、
「ユウナゴ」
と書かれていたので、あわてて、
「『ユ』じゃないよ、『コ』。『コウナゴ』だよ!」
と修正して、本番は大丈夫でした。アブナイアブナイ。