新・読書日記 2011_060
『秋葉原耳かき小町殺人事件~私たちは異常者を裁けるか』(吉村達也、ワニブックスPLUS新書:2011、2、25)
ミステリー作家が「異様な事件」に迫る、と帯に。
「耳かき店」という店は「風俗店」のようでそうではない、境目のような存在のように思えた。「耳かきのお店」を描いたマンガ(読んだこと、あります)の方が先にあって、そこから名前を取ったらしい。
本書は、被害者側にも、加害者を誘引してしまうような不用意な行動があったというようなことが書かれているので、「何の落ち度もない被害者側」としては、納得できない本かもしれない。しかし本人にはそのつもりはなくても、客観的には「誘引」につながってしまうような行為が、おそらくあったのだろう。それを「落ち度」と呼ぶかどうかは別にして。もちろん、「命を奪われるほどの落ち度でない」ということは、言うまでもないが。
実はこの本と「イングリッシュモンスター」の本は、2冊平行して読んだのだが、同じように"引きこもり的な生活"をしていた2人が、片や「イングリッシュモンスター」に、片や「犯罪者」になってしまったという、この「ボーダーライン」は、一体どこにあったのだろうか?と考えざるを得ないような一冊だった。
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