新・読書日記 2011_050
『危険な話~チェルノブイリと日本の運命』(広瀬隆、八月書館、1987、4、26第1版第1刷・1988、5、26・第1版第31刷)
こんなときだから原発や放射能のことを勉強したいと思い、家の書棚を探したのだけれど、原子力や放射能関係の本が出て来なかったのです。何冊かはあるはずなのに・・・と思いながらもう一度探すと、唯一目に留まったのが、この本。
広瀬隆の本は、当時(もう20年以上前)何冊か読んだけれど、そのうち読まなくなってしまった。しかもこの本は買ったけど、まだ読んでいなかった。奥付を見ると、なんと23年前に買っています。初版がで出て1年で「31刷」ということは、相当のベストセラーだったんですよね、チェルノブイリのあとで・・。
今、改めて「広瀬隆」を読んで思ったのは、どちらかと言うと「トンデモ本」に近いな、と。その理由は「推論の仕方が飛躍する」からです。たとえば「Aという事実がある、Bという事実もある」という場合、そこから先が「だからCなんですよ」と言うと、「なるほど」と思うのですが、著者の場合は「Aでしょ、Bでしょ、だから"Z"なんですよ!」と言っているような感じで・・・。おそらくこの本は、著者が各地で行っていた「講演」をまとめたか、その「講演の台本」となったものと思われ、ものすごく聴衆・読者を「あおる」ようなの表現が随所に出てきて、「ちょっとマユツバ」と思わざるを得ない箇所が見受けられました。たとえば「新聞の大きな見出し」だけをいくつも並べてレイアウトしているところなど、「週刊誌の扇情的な見出し」そのものです。「アジテート」しているとしか思えません。しかし、A・Bといった事実関係(放射性元素の溶融温度の表など)に関しては参考になりました。
star2_half