新・読書日記
2011_041
『仕事の9割は「依頼術」で決まる』(深澤真紀、双葉新書:2010、11、21)
だいぶ前に買っていて、読みかけのままになっていました。
著者は、日本語に関する本も、確か出してたな。前に読んだ気がします。
よくある「○○の9割は・・・」というタイトルですが、まあ、「依頼」の方法の入門編のようなもの。普段「依頼」を仕事・生業にしている著者だからこそ、書けたのかもしれません。フリーランスの方が、当然のことながら「依頼の仕方」には気を使っていると思い案す。気軽に読めます。
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(2011、3、15読了)
2011年3月28日 12:42
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新・読書日記
2011_040
『のはなし・さん』(伊集院光、宝島社:2010、10、22第1刷・2010、12、13第3刷)
新古書店に、初めて「CD」を売りに行って、査定を待つ間にブラブラ見ていた本の中で買うことを決めてしまった。定価1200円が500円だ。きれいだし、新刊で出てまだ3か月だし、買うしかないでしょ。CDを40枚売りに行ったのに、買い取ってもらえたのは20枚。しかも値段は20枚で873円...。シングルCDでさえ買われへんやんけ!
で、買うことを決めた本2冊で900円払いました...トントンかな。
この本のシリーズの、「いち」と「に」は新刊で買って本棚に入れていました、寝室の娘の枕元の本棚に。デザインが一緒で"色違い"のこの「さん」の表紙を見た6歳の娘が、
「あ!この本、見たことある!」
「すごい記憶力やなあ」と娘に言ったところ、
「トランプの"神経衰弱"も得意やねん!」
と。たしかに。息子も小学校に入るぐらいまでは「神経衰弱」は得意でした。多分、記憶のし方が、文字を読める大人の脳とは違うのだと思います。恐れ入りました。
あ、本ですか?「フツウに」面白かったです。でもやっぱり「いち」が一番面白かったなあ。
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(2011、03、19読了)
2011年3月27日 21:38
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新・読書日記
2011_039
『聖(セイント)☆おにいさん1~3』(中村光、講談社)
新聞か週刊誌の書評欄で見かけて興味を持った。マンガです。
キリストとブッダが下界に下りてきて、若者の姿で安いアパートで共同生活をしているという、「いいのかなあ、こんなの」という設定。マンガの体は取っているが、明らかにこれは「コント」「漫才」の類(たぐい)だよなあと思いながら読んでいる。
一番笑ったのは第3巻で、カラオケ・ボックス(って、行く?普通)でキリスト(=下界では姓が「聖」、名前は「イエス」)が名前を聞かれて、
「聖イエス」
と答えると、「チャゲアス」大ヒット曲、
「Say Yes」
が入るというまあ、くだらない話。でも、受けた。
いいのかなあ、こんなマンガ・・・。
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(2011、3、8読了)
2011年3月17日 20:20
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新・読書日記
2011_038
『キュレーションの時代~「つながり」の情報革命が始まる』(佐々木俊尚、ちくま新書:2011、2、10)
このところ精力的にメディアと情報革命に関する本を上梓している著者。この新書も分厚いです。300ページを超えるもの。いつものように、「ここは大事!」というページの耳を折っていったら・・・もう本が膨れ上がってしまいました。
「キュレーション」というのは、なじみのない言葉だけれども、美術館・博物館の「学芸員」のことを「キュレーター」と呼ぶのは聞いたことがあります。まさにその「キュレーター」が行うような行為、いいもの・役に立つものを見極めて、そのモノや情報の「新しい価値の意味づけをする」ということが、「キュレーション」。これからはそういった行為に「価値」が出てくるのだと。(つまり「お金が動く」「商売になる」と。)単に情報を伝えるのではなく、その情報がどういう意味合いを持っているか、どう並べると価値が相乗効果で上がるのか、そういったことを示唆することが「キュレーション」なのだ。情報が溢れかえっている時代だからこそ、重要な情報をきっちりと目利きして提示できる、そういった仕事が必要なんだよと。そんなことが書いてあったように思います。
それにしても著者の佐々木さん、趣味の幅も広いですねえ・・・。
(追記)
「現代用語の基礎知識2011年版」を見ていたら、巻頭のエッセイで、既に佐々木さんが「キュレーション」について書いていました!
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(2011、3、2読了)
2011年3月17日 10:18
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新・読書日記
2010_254
『誰が誰に何を言ってるの』(森達也、大和書房:2010、3、5)
同じ著者の『マジョガリガリ』と同じような、黄色一色の目立つ表紙。タイトルはまるで「井上陽水」の曲のようだ。
内容は主に「監視カメラ」。そしてそれに対して何も感じないどころか、「善意」でそれを推進する人たちと、それに何も感じない人たちへの警鐘。本当にオーウェルの『1984』的な世の中になってしまったなあ、日本も。1984年から26年、四半世紀が経って。
私はタバコを吸わないのであまり意識しなかったが、飛行機へのライターの持込は「1個に限定」っていうのも、確かにヘン。ライターが危険だと言うなら、「1個も持ち込ませない」のが正しいのに、なぜ1個持ち込める?1個が大丈夫なら2個もOKでしょう。一人で100個とかいうのはおかしいにしても。それを指摘すると係官は「ダメなものはダメ」的に「職務に忠実」な働きをした後に、そっと著者に耳を寄せて小声で、しかし憤然と「私もおかしいと思ってるんです!」と囁いたというが・・・これは実話かな?創作かな?
また電車の座席や公園のベンチにが「長いす」ではなく「一人一人がきっちり座れるように区切られた」背景には、そこで寝そべったりする人を物理的に「排除」しようとする意図が。たしかにちょっと、気に食わない。
日本の犯罪は減少しているのに、監視カメラは増え、「厳罰化」の空気が強まっている。「ニワトリが先か、タマゴが先か」の議論と似てはいるが、「日本の犯罪件数は減っている」というのは客観的事実のようだ。
「地獄への道は、善意で舗装されている」
この言葉は確かにそうだと思う。また最後に出てきた、ナチス・ドイツでルター派の牧師だった、マルティン・ニーメラーの詩は印象的だった。
※読んで書いていたものの、行方不明になっていたのが、1年たって今頃出てきました。2010年は254冊読んだのですね。新記録!
(☆3つ半)
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(2010、3、16読了)
2011年3月16日 21:33
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新・読書日記
2011_037
『大局観』(羽生善治、角川Oneテーマ21:2011、2、10)
かつて「七冠」に輝いた羽生さん。若き天才も、もう30代後半になり、ひと回り若い世代が台頭してきました。とはいえ、もう一歩で「七冠」全部で「永世」の栄誉を取れる「天才」は、やはり「不世出」という言葉がふさわしいでしょう。
その羽生さんが、一体どんなことを考えているのかは興味がありました。平易な言葉で、我々凡人でもわかるように書いてくれています。
「大局観」とは、あるようでなかった言葉。羽生さんの造語のようですが、局地的な攻防も、もちろん大事だけれども、何より「全体の流れ=大局」をつかむことが大切であると。ま、タイトルを一言で説明すると、そういうことになりますかね。
いい本でした!
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(2011、2、19読了)
2011年3月16日 20:17
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新・読書日記
2011_036
『たてつく二人』(清水ミチ子・三谷幸喜、幻冬舎:2011、2)
なんだか漫談のように、かみ合っているのかかみ合っていないのか・・・そこがおもしろいのだが。三谷さんは私と同い年で今年50歳。清水さんは、私(と三谷さん)よりもたしか3つぐらい年上。気心の知れた二人ですから、そして女性の清水さんの方が少しお姉さんなので、リードするような感じで。三谷さんは脚本家であり出演者であるというマルチプレーヤー。その意味では、演者さんである清水さんとの距離の取り方って難しくないのかなあ。ま、本業は裏方さんなんだけど。もともとは役者さんだし。
そのあたり、東京サンサインボーイズの結成20周年(だっけ)の復活舞台で、昔の仲間で今も役者をやっている人と会ったら、「ああ、やっぱり向こうはプロなんだな」と、三谷さんが今の自分のポジションとの「差」を感じたりというシーンは、時の流れを感じました。
これまでに『かみつく二人』『いらつく二人』と言うシリーズが出ています。拍子イラストは、和田誠さん。三谷さんは和田さんのファンで、「和田タッチ」のイラストも描けます。
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(2011、2、18読了)
2011年3月11日 12:21
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新・読書日記
2011_035
『テレビは総理を殺したか』(菊池正史、文春新書:2011、2、20)
タイトルにつられて買ったら、著者は元・日本テレビ政治部記者だった!(現在は編成局)。そういえばお名前は聞いたことがあるなあ・・・と思いながら生まれ年を見たら、あれれ?ずいぶん若いやん!貫禄あるなあ。
食堂で読んでたら、旧知の後輩で『ウェークアップぷらす』のプロデューサーY君が近づいてきて、
「あれ!?菊池のヤツ、俺の知らない間にこんな本書いて・・・よし、電話してやる!」
と、その場で本人に電話をかけて、
「本、出したなら教えてよ!」
と言っていました。
本書は主に1993年以降の政治の流れが、小沢一郎を軸に書かれているが、リアルタイムに経験してきただけに、なんだか緊張して読んだ。
そして結局、田中角栄を軸に、その系譜・田中派の流れを汲む者VSアンチ角栄の闘いが今も続いているのではないか。娘・真紀子の場合は、ちょっとややこしくて、角栄の流れを汲む者は角栄を倒して・裏切って・見捨てて乗っ取った(=竹下ですが)わけで、それに対する近親憎悪というか、「可愛さ余って憎さ百倍」で「アンチ角栄」のはずの小泉と結んでしまったり。
そして1972年、田中が総理に就任した年にバンダが来た。今年、またパンダが来た。その年に沖縄が返還された。その沖縄が、日本・ヤマトンチュに「NO!」を突き付けている。世代交代、30年一巡説、か。
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(2011、2、26読了)
2011年3月10日 22:17
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新・読書日記
2011_034
『それでも、ぼくは生きられる~旅で見つけた目に見えない大切なもの~』(坂野祐介、自費出版(だと思う):2011、1)
「9か月ぶりに日本に帰ってきました」
と書かれた梅の花の柄の便箋一枚が添えられた、このフォトブックが届いたのは1月下旬のことだった。差出人は、5年ほど前まで朝の番組を一緒にやっていた若い男性ディレクター。その後、東京に移りディレクターを続け、結婚。その奥さんが過労から鬱になり、二人で東京を飛び出した。ハワイ、ブータン、インド、ネパール・・・そこで見たもの体験したものは、日本・東京とは全く違った価値観、時間の流れ、自然とのつきあい方の中で「生きている人たち」の生活だった。
小さな、CDサイズ(よりもちょっと小さい?)の本の中に、鮮やかでヴィヴィッドな写真とともに、彼等が体験した"世界"が封じ込められている。
9か月のこの体験が、二人をひと回りもふた回りも大きくしたに違いない。
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(2011、1、28)
2011年3月10日 12:15
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新・読書日記
2011_033
『なぜ日本は没落するか』(森嶋通夫、岩波現代文庫:2010、7、16第1刷)
著者は元大阪大学・ロンドン大学教授。2004年に亡くなっているが、本書は1999年に出たものの文庫化。
これも"10年前"に書かれてはいるが、既に「予言の書」的な側面がある。というか、10年前から"流れ"は動いていて、それが10年という歳月で予定通りのところに「時代」を運んだというべきか。ここには、そうなったときの"処方箋"が書かれている。その"処方箋"どおりに手当を行えば症状が和らぐかというと、それには疑問符が付くが、参考・指針にはなるだろう。
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(2011、2、13)
2011年3月 9日 22:13
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新・読書日記
2011_031
『妻と最期の十日間』(桃井和馬、集英社新書:2010、12、22第1刷・2011、1、19日 第2刷)
著者は1962年生まれの写真家・ジャーナリスト。いま話題の「戦場カメラマン」でもある。
「もしかして、女優の桃井かおりさんと姉弟?」
と思ったが、全然違うみたい。
著者の妻が41歳でくも膜下出血で倒れ、意識を取り戻すことなく「十日間」で逝ってしまった。「たった十日」がどれだけ長い時間であったか。本書を読めばよくわかる。
残された夫=著者はあまりにも無力であった。「男って弱いな」、そう感じざるを得ない。そして、ほぼ同世代であるだけに、「もし、自分がその立場であったなら・・・」と想像せざるを得ない。同じく一緒に残された小学6年の娘。妻が「灰」になった後の帰りのタクシーの中で、口を開く。
「おとうさん」
「なに?」
「あしたからはしっかり働くんだよ!」
やはり、「女は、強い」のである。弱き者、汝の名は、男・・・。
それにしても「集英社新書」も10周年で、こんなノンフィクションも出すようになったのですね。
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(2011、2、11読了)
2011年3月 8日 22:10
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