新・ことば事情
4313「『傭兵』と『雇い兵』」
リビア情勢からも目が離せません。
そのリビアのニュースを伝える2月23日の新聞各紙を読んでいると、
「傭兵」
という文字が飛び込んできました。
「ようへい」
と読みます。外国人など、
「カネで雇った(雇われた)兵隊」
のことです。が、「傭」が常用漢字ではないので、漢字の上にルビが振ってあります。この「傭兵」という漢字(言葉)を使っているのは「朝日新聞」と「産経新聞」です。ただ「見出し」にはルビは振ってありません。最初にリードあるいは本文に出て来る「傭兵(ようへい)」にだけルビを振るのです。
これに対して、「読売・毎日・日経」には、「傭兵」は出てきません。代わりに出て来るのは、
「雇い兵」
という聞き慣れない言葉です。『精選版日本国語大辞典』『広辞苑』にも「雇い兵」は載っていません。しかし、各新聞社の「用語の手引き」の類を見ると、「読売・朝日・毎日・共同通信」では、
「傭兵→雇い兵」
と書き換えることになっています。もちろん「傭」が常用漢字ではないからです。各社「雇い兵」を使うことに決めているのです。
その意味では今回、朝日新聞はハンドブックとは違って「雇い兵」を使わずに、ルビを振って「傭兵」を使っています。私が持っている市販されている「用語の手引き」は2002年とちょっと古いので、その後変更があったのかもしれません。産経新聞の用語の手引きは私は残念ながら持っていないので、その辺はわかりません。
なお各社が加盟している「日本新聞協会・新聞用語懇談会編」の『新聞用語集2007年版』でも、
「傭兵→雇い兵」
と書き換えることになっています。強制力はありませんが。