新・ことば事情
4305「四顧して」
『意地悪は死なず~夏彦・七平対談集』の67ページに、
「四顧して」
という表現が2回出てきました。書き言葉というか文語というか、今はあまり使わない言葉です。辞書に載っているかな?・・・『広辞苑』に載っていましたよ。
「四顧」=(1)四辺をふりむいてみること。みまわすこと。(2)あたり。付近。
この場合は(1)の「見回すこと」ですね。でも聞かないなあ、完全に書き言葉、しかもも文語、死語。「四股」は踏んでも「四顧」はしませんね。
『明鏡国語辞典』には、しっかり<文>と「文語マーク」がついて、
「四方を見回すこと。また、四方。付近」
とありました。
『新明解国語辞典』は、「老人語」とも「古風な表現」とも記述がなくただ1行、
「あたりを見回すこと」
とありました。『岩波国語辞典』には、
「あたりを見回すこと。また、あたり。▽既に古風」
この「既に古風」、いいですねえ。風格があります。『新潮現代国語辞典』にも、見出し語として載っていました。そかし『三省堂国語辞典』には、見出し語がありませんでしたよ、飯間さん。
古風で死にかかっている言葉かもしれないけど、ちょっと掘り起こしてみました、「四顧」。