新・ことば事情
4299「賭博場開張図利」
大相撲の八百長問題で出てきた刑法上の言葉として
「賭博場開張図利罪」
というのがあります。昔はニュースでは、
「賭博開張図利」
と言って「場」は入らなかったのになあと思います。
ところで、実は「開張」の「ちょう」にあたる漢字が2種類あるのにお気づきでしょうか?
「朝日新聞」と『新聞用語集2007年版』には、
「賭博開帳図利」
とあるのですが、
「読売新聞」は、
「賭博開張図利」
そして刑法の表記は、
「賭博場開張図利」
今回、日テレはその表記を使っていましたので、それに倣いました。
え?どこが違うかって?
「帳→張」
が違います。これは気付きにくい。混在していてもたいていの人は気付かないと思います。
2003年に新聞協会新聞用語懇談会放送分科会が出した『放送で気になる言葉・改訂新版』では、「賭博」が表外字だったこともあって、平仮名の「とばく」を使って、
「とばく開張図利」
と表記されていました。現在改定作業中で、この3月に8年ぶりに出る予定の『放送で気になる言葉2011』でも、その「張」を尊重して、『新聞用語集』の一般的表記とは異なる、刑法の表記の
「開張」
を使うことになりました。