新・ことば事情
4293「『にわか雨』は『ある』か?『降る』か?」
新聞用語懇談会の放送分科会でここ2年ほどかけて審議しているのが『放送で気になる言葉・改訂新版』の改定作業。先日、ようやく最終ゲラ・チェックが終わって、いよいよ3月には、8年ぶりの改訂版が出そうです。
その作業の中で、一つ話し合われたのが、
「にわか雨が降る」「にわか雨がある」
という表現について。これまでの『改定新版』では、
×「降る」
○「ある」
として、
『「降るでしょう」が誤りとは言えないが、放送(気象用語)では「にわか雨」や「雷雨」には「降る」意味が含まれていると見て、「あるでしょう」とする。』
となっていました。これに関して、
『「にわか雨があるでしょう」が正しく、「にわか雨が降る」という表現は「絶対にダメ」だとは言えないのではないか?「にわか雨」はその中に「にわかに降る雨」と「降る」の意味が含まれているので「『にわか雨が降る』は重複表現」というのは納得できない。』
という意見が出ました。
これについて私の考えは、
『「にわか雨」は「降る」という「動作」が含まれているのではなく、「急に降ってすぐにやむ」という完結を伴う一連の「現象」を表しているので、やはり「ある」が正しいのではないか?もちろん「降る」が絶対にダメとは言えないかもしれないが。』
というものでした。
結局「新しい『放送で気になる言葉2011』には、
『「降るでしょう」が誤りとは言えないが、放送(気象用語)では「あるでしょう」とする。』
になりました。
その後、家に帰る途中に、また考えてみました。
『「にわか雨」は、降り終わらないとわからない。予報では「にわか雨かあるでしょう」と現象として言えるが、たとえ急に降り出しても、その時点では「にわか雨」かどうか断定できない。「あ、にわか雨が降ってきた!」とは言えない。止むかどうかわからないからだ。そこから考えたら、やはり「にわか雨」は「ある・ない」ではないか?』
皆さんはどうお考えでしょうか?