新・ことば事情
4284「改定常用漢字で・・・」
2010年11月30日に、29年ぶりに「常用漢字」が改定されました。これまでの1945字から5字削り、新たに196字を加えて、合計で2136字になったのです。「常用漢字」とは、お役所の公的文書や新聞・放送で使う漢字の「目安」となるものです。
この改定を受けて、新聞各社や放送各社もこれまでは平仮名で書いていたもの、交ぜ書きにしていたものや、ルビを振って使っていた漢字を、「ルビなし」で使用するようになりました。日本テレビ系列も12月7日から使用しています。とはいえ、まだなじみのない難しい漢字や、画数が多くてテレビのスーパーでは文字がつぶれてしまって読みにくいものは、これまでのように平仮名で書いたり、ルビを振ったりしています。
「情報ライブミヤネ屋」でも、この改定に従い「ルビなし」で使う漢字がいくつか出てきました。この1か月ほどで「ミヤネ屋」に出てきた「新たに常用漢字に入ったために、ルビが要らなくなったもの」をいくつかご紹介しましょう。
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「謎(なぞ)」→○「謎」
「音さた」→○「音沙汰」
「憧(あこが)れ」→「憧れ」
「容貌(ようぼう」→○「容貌」
「ダンナ様」→○「旦那様」
「謁見(えっけん)中」→「謁見中」
「挨拶(あいさつ)」→○「挨拶」※平仮名で「あいさつ」ももちろんOK。
「憶病」「臆病(おくびょう)」→○「臆病」※「憶病」は使わない事になりました。
「俺(おれ)」→○「俺」
「親せき」→○「親戚」
「かかわる」→○「関わる」
「育(はぐく)む」→○「育む」
「絆(きずな)」→○「絆」
「破綻(はたん)」→○「破綻」
「払しょく」→○「払拭」
「葛藤(かっとう)」→○「葛藤」
「人込み」→「人混み」
「梨(なし)」→○「梨」(音読みの「り」は表外なので「梨園(りえん)」はルビが必要)
「ねじり餅(もち)」→○「ねじり餅」
「拭(ふ)く」→○「拭く」
「剥(は)がす」→「剥がす」
「萎(な)える」→○「萎える」
「育(はぐく)む」→○「育む」
「椎間板(ついかんばん)」→○「椎間板」
「斬(き)る」→○「斬る」
「頬(ほお)」→「頬」
「刺された跡」→○「刺された痕」
「あて先」→○「宛て先」
これらを使って、適当な文章を作ってみました。
「所在が謎で音沙汰がなかった憧れの容貌の旦那様に謁見・挨拶した臆病な俺は、これまで親戚としての関わりで育んだ絆が破綻するかもしれないという思いを払拭できず葛藤し、人混みの中で梨にこびりついた餅を拭いて剥がしながら、気持ちが萎えてきた。まさかこれまで育てた椎間板ヘルニアの俺を、旦那様は斬るのか?頬の手術の痕をさすりながら書いた手紙を、宛て先も書かずにポストに入れた。」
どうでしょうか?漢字は読めますか?内容は「筒井康隆ふう」ですね、「俺」を使うと。
コメント
確かにこの様に常用漢字が増えるというのはありがたいですが、それでも常用漢字でありながら仮名書きされているのをよく見かけます。特に「作る」を「つくる」と書いたり、「新しい」が「あたらしい」、「始まる」が「はじまる」等と書かれているのをよく見かけます。他にも「無駄」が「ムダ」と書かれているのも確認しています。常用漢字として認められている以上はできるだけ漢字を使っていただけることを望んでおります。
投稿者: mc554 日時:2011年02月09日(水) at 18:42
確か「謎」は2点しんにょうだったと思いますが、放送ではどうなんでしょう。
投稿者: 批評人 日時:2011年02月12日(土) at 20:21