新・ことば事情
4263「てつだいたくて」
例の朝ドラ『ゲゲゲの女房』のテーマソング、「いきものがかり」が歌う曲ですが、あれの最初の部分を、うちの5歳の娘が覚えて歌っています。
「ありがとうーって伝えたくてー、あなたにー伝えたくて。」
これは正しい歌詞。でも娘が歌っていた歌詞は、微妙に違います。こう歌っていたんです。
「ありがとうー手伝いたくてー、あなたをー手伝いたくてー」
うーん、子供らしくて、かわいいー。いじらしいー。
何を手伝ってくれるんだろうねえ。
「ありがとうー」
の部分で、一旦、歌詞が切れるように聞こえるので、「て、つたえたくて」が「手伝いたくて」と感じたのでしょうね、子どもとしては。思いもよらない解釈をするもんですねえ。 (2011、1、10)
(追記)
な、なんとー!
「てつだいたくて」
だと思っている人が、我が家の5歳の娘以外にもいることが判明しましたー!
2011年1月12日の日経新聞夕刊のコラム「プロムナード」で、作家・姫野カオルコさんのが「歌詞を精読」というコラムを書いています。そこで取り上げているのが、「いきものがかり」のリーダー・水野良樹さんが作詞した曲『ありがとう』。つまりが『ゲゲゲ』の曲ですね。
その中で、希望に溢れた二人で過ごした後、一緒に朝を迎えた様子を描いた歌詞なのに、
「まぶしい朝に、苦笑いしてさ」
という、
「苦笑い」
は、正しくは、
「はにかんで笑う」「髪の毛をくしゃっと手櫛でかいて微笑む」「照れ笑いして」
の意味ではないか?ということを書いてらっしゃるのですが、最後のところを、
「『ええっ、あの歌は、<ありがとう。手伝いたくて、あなたが戸を開ける>って歌っているんじゃないの?』といった人が、私の近くにはいたが・・・・。」
と締めくくっているのです!これはつまり、
「たしかに『てつだいたくて』と聞こえるメロディーラインと歌い方である」
ということなのではないでしょうか?・・・わざとかな?本当は手伝いたかったのでは???