新・ことば事情
4265「チゲ鍋バーガー」
年明けに、ハンバーガー屋さんの店頭で見かけた垂れ幕に、
「チゲ鍋バーガー」
とありました。もちろん「チゲ鍋」+「ハンバーガー」というような具材なんでしょうね。
そこで気になったのは、「バーガー」の造語力です。「ハンバーガー」は、もとはドイツの地名の「ハンブルグ」の英語読みですよね。「ハンブルグ」で食べられていた料理がベースで。しかしその後、
「チーズバーガー」「月見バーガー」
などと語尾の「バーガー」が全体を現す言葉として独立し、さらにほかの要素と合体して複合語としていくつもの言葉を作ってきたわけです。
一応「ハンバーグ・ステーキ」を『広辞苑』で引くと、
「挽肉に刻んだ玉葱・パン粉・卵などを加え、平たい円形にまとめて焼いた料理。一説にドイツのハンブルクの名物、タルタル・ステーキの系統をひくことからの名とも。ジャーマン・ビーフステーキ。」
「~名とも」か。じゃあ絶対「ハンブルグ」から来ていルトは言えないのか。ま、いいか。
同じようなことは、例えば、
「トイザらス」
というアメリカのおもちゃ屋さんの派生形に、子ども用品のお店で、
「ベビーザらス」
というのがあります。この場合は「ザらス」が造語力を持つ語尾の言葉になっています。しかし、これはまだ「トイザらス」系統のお店でしか見たことがありません。「バーガー」の方がより一般的です。「バーガー」クラスでよく使われているものとして思いつくのは、
「ユートピア」
の語尾「トピア」はどうでしょうか?
「ポートピア」「ヨカトピア」「ボートピア」
など、いろいろ使われていますよね。
私が学生の頃、30年近く前の情報誌『ぴあ』に「はみだし記事」というのが各ページの端に1行あって、それのタイトルが、
「YOUとぴあ」
だったような。表記は忘れましたが。つまり「YOU=読者」と「ぴあ」という雑誌を繋ぐ1行であったと。ただ本来の「ユートピア」(=理想郷)の語構成は
「ユー・トピア」
であって「ユーとピア」ではないのですが、おそらくこのコーナー(と情報誌の名前)のおかげで「ユートピア」の語尾は「ピア」だと思った人も多かったのではないでしょうか。
「語尾」については、今後も考えていきます。