新・ことば事情
4254「きさんじ」
先日、『声~あなたと読売テレビ』のスタッフと話をしていたときに、スタッフの一人・Aさんから、
「最近あまり耳にしなくなったけど、『きさんじ』というのは、あれは大阪弁ですかね?」
という話が出ました。私も使わない言葉ですが、
「上方落語には出てきますね。大阪弁でしょう。漢字で書くと『気散じ』ですよね?」
と答えてから、『大阪ことば事典』(牧村史陽)を引きました。
「きさんじ(気散じ)」=明朗。快活。物ごとにこだわらぬこと。東京では、この語を気晴らしの意味に用いている。」
え、そうなの?私も「気晴らし」の意味で理解していました・・・。
また、『全国方言辞典』からの引用で、滋賀県愛知郡・京都・大阪・山口県玖珂郡・高知では「気持ちのさっぱりしていること。さばけていること」の意味ですが、江戸(仙台方言)・和歌山では「のんき。気楽」、出雲では「痛快」の意味、さらに長野県東筑摩郡では「すばらしい、りっぱ」という意味であるとも書かれています。ヘエー。
『精選版日本国語大辞典』を引くと、
「(1)わだかまった気持ちを散らすこと。気晴らし。きのせいせいすること。また、そのさま。(2)気苦労のないこと。また、そのさま。気楽。のんき。」
とありました。
「きさんじ」で私が思い浮かべたのは、実は別のことでした・・・。
「きさんじ、小三治、アサンジ」
おあとがよろしいようで・・・。