新・読書日記 2010_233
『アメリカン・デモクラシーの逆説』(渡辺靖、岩波新書:2010、10、20)
「民主主義は多数決とイコールではない。むしろ、勝者(多数派)が敗者(少数派)に対してどれだけ耳を傾け、信頼と共感を勝ち得てゆくかによって真価を問われる。『数の論理』を盾に敗者(少数派)を軽んずることは、トクヴィルが懸念した『多数派の専制』に他ならない。」(9ページ)というあたりに惹かれて読んだ。ちょっと難しかったけど。
「あとがきにかえて」が抜群に面白い。ハーバード大学の卒業式で、あるコメディアンが卒業生代表で挨拶したのだ。この挨拶が素晴しい。ユーモアが世界を救うのではないかというぐらい。ここだけ読んでも、この本の価値はあると思う。アメリカというのはやはり「奥が深い」のだなと感じざるを得ないと思う。
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