新・ことば事情
4221「我が国の読み方」
11月19日の夜(日付は11月20日の午前0時過ぎ)、フジテレビのニュースを見ていたら、増税されそうな雰囲気が出てきた「ナフサ業界」の人たちが集まって「増税反対!」と気勢を上げている集会の様子を放送していました。その業界の会長さんと思われる人(ちょっと字幕を見逃した)が、決議文のようなものを読み上げていたのですが、その際に言った言葉に耳が反応しました。
「わがこくの・・・」
え?「わがこく」?・・・・それは、もしかして、
「わがくに」
のことでは?漢字では、
「我が国」
と書く、アレですよね?「わがこく」というのは聞いたことがありません。もしかして、私が知らないだけなのでしょうか?
「わがこく」でGoogle検索してみたら(11月23日)、
「わがこく」=799件
ありましたが、そのトップに出てきたのは、Yahoo知恵袋で、
「我が国は、1.わがくに、2.わがこく どちらで読みますか?」
というもので、答えは「わがくに」でした。でも、
「どっちなんだろうか?」
と悩んでいる人もいるということが分かりました。
そもそも「我が国」というような大上段の書き言葉を、話し言葉ベースである放送では、原則使わなくなったことから、こういった「迷い」「ゆれ」が出ているのでしょうね。
ちなみに辞書は、『精選版日本国語大辞典』『広辞苑』『デジタル大辞泉』『三省堂国語辞典』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『新潮現代国語辞典』には、「わがくに」しか載っていませんでした。『岩波国語辞典・第7版』は「わがくに」も「わがこく」も載っていませんでした。
日本新聞協会・新聞用語懇談会放送分科会編『放送で気になる言葉・改訂新版』(2003)の64ページには、「わが国」について、
「『わが輩』『わが友』などと同様、文語的な言葉でもあり、発言の引用などはやむを得ないが、なるべく『日本』を使うようにする。」
と記されています。文語的な言葉が悪いわけじゃないけれど、ニュースでは「話し言葉」がベースになるということでしょうね。