新・ことば事情
4205「匹」
先日、奈良で開かれていた「第62回正倉院展」に行ってきました。
「大変長い時間並ぶ」と聞いていたので、閉館間際の時間を狙って行ったら、あまり並ばずに、10分ぐらいで入れました。
しかし、入ってから、一番の目玉である、
「紫檀螺鈿五弦琵琶(したんらでんごげんびわ)」
を最前列で見るのには30分ほど並びました。グルグルと回って近づいていくので、並んでいる間も見られるのですが。これは、なかなかのものでした。1000何百年も前に作られたものとは思えず、昨日作ったばかりのような見事さ、綺麗さ。
それを見終わったら、もう「見ちゃった感」があり、あとは気楽に眺めていました。
その中に、
「遠江国 調 黄絁(あしぎぬ)」
という「布=反物」がありました。「調」・・・あ、そうか、
「古代の税金『租庸調(そ・よう・ちょう)』の『調』」か!
その現物ですね、これは。残っているんですねえ・・・。その説明書きに、こうありました。
「調、未使用の一匹」
おお、「反物を数える助数詞」としての、
「匹」
ですね!『数え方の辞典』などでは見かけたことがありましたが、実際に使用されているのは、おそらく初めて目にした助数詞です!『数え方の辞典』によると、
「反物2反で1匹」
だそうです。
正倉院の宝物の現物もすごいですが、こんな序数詞にお目にかかれるのもまた、貴重な体験だなぁと思いました。
私ぐらいですかね、そんなところに注目して「正倉院展」を見ていたのは。