新・ことば事情
4202「実体験」
「『実の体験』は『じつたいけん』ですかね?それとも『じったいけん』ですか?辞書に載ってないんですよ、この言葉・・・。」
と、報道のSデスクに聞かれました。
「じつたいけん」か?「じったいけん」か?
ウーンと考えていると、ふと思いました。
「そもそも『体験』は『実』に決まっているから、『実』を付けずに『体験』だけでよい。それにわざわざ『実』を付けるというのは『虚偽の体験』、『バーチャル体験』が増えたからではないか?」
たぶん、そうです。それで「実体験」が辞書に載っていない理由がわかります。最近出来た言葉なのです、きっと。
さて、発音に関して考えてみると、「母音の無声化」というのが進むと「促音」=小さい「っ」になりますが、言葉自体がまだ辞書に載っていないぐらい定着してないのですから「促音化」は「していない」と考えるべきでしょう。そうなると、
「『じつたいけん』(「つ」は「無声化」する)
ということではないか?と、S君には答えておきました。
コメント
あれ、俺「じったいけん」て読むけどな……と思い、手持ちの岩波国語辞典で「実」が頭につく熟語を調べてみたところ、次のような法則になっているようです。
実+アナマヤラワガザダバ行=「じつ」。
実+カサタハパ行=「じっ」(ハ行はパ行に変化)。
例外は「実方」「実株」くらい。「実体験」に似た3文字熟語では「実社会(じっしゃかい)」なんてのが辞書に載ってました。でも昔は使わなかった言葉なのですか、「実体験」って。ちょっと驚きです。
投稿者: かくた 日時:2010年11月18日(木) at 22:39