新・ことば事情
4199「駐ロか?駐露か?」
11月1日、ロシアのメドベージジェフ大統領が北方領土を初めて訪問しました。これを「訪問」とするか「上陸」と表現するか、という問題もあったようですが。それはさておき、これに伴って、一時、河野駐ロシア大使を日本に戻すという措置を日本政府は取りました。「抗議のためではなく、事情を聞くため」
とのことですが、少しは「抗議の意味合い」もあったのかもしれません。
さて、この河野駐ロシア大使の「駐ロシア」を略した時の表記はどうなるか?各新聞は、
「駐露」=読売、産経、毎日
「駐ロ」=朝日、日経
でした。これは要するに「ロシア」を略すと「露」か?「ロ」か?という問題なので、「平成ことば事情3514「日露か?日ロか?」に書いたとおりです。
系列キー局・日本テレビの『日テレ放送用語ガイド』121ページに、
「『ロシア』の略称は『ロ』」
と記されていて、その下に、
「露は1917年の革命以前の帝政ロシアのみに使用する。(例)日露戦争」
と書かれているので、系列の読売テレビでも、
「駐ロ」
としていたのですが、11月10日になって、事情が変わりました。日テレ外報部から、
×「日ロ」→○「日露」
という連絡が回ってきたのです。そのあたりの事情について詳しく聞いてみたところ、
「昨日(11月9日)、かって用語統一した『口』を『露』に変更しました。
新:ロシアの略称は「露」(旧: 「ロ」)
~ロシアの略称は、これまで「ロ」を用い、「日ロ首脳会談」などと表記してきましたが、今後は「露」を使い、「日露首脳会談」などと統一使用します。
<理由>
①旧ソ連崩壊後、新生ロシアと帝政ロシアを区別するため、多くのメディアが「ロ」を用いた。
②新生ロシア発足から18年経ち、「日露」を使用しても、帝政ロシアを想起する視聴者が減った。
③主要国でカタカタを略称にしている国はなく、新聞・通信なども「露」を使用している(読売新聞等)。
(使用例)
日露首脳会談、日露間の貿易統計(スーパーなど)、中露関係、河野駐露大使など。
ただし、「日本・ロシア当局者による協議」、「駐ロシア大使」などのように「ロシア」を略さない表記を禁じるものではありません。
ということですので、11月10日からは、
「駐露」「日露」
という表現を使っています。
コメント
初めてのコメントです。いつも拝読させてもらっています。こちらは中3男子の批評人と申します。よろしくお願いします。
私は駐露大使というニュースの表記が出た時に違和感を感じたんです。何せソ連を知らない世代なので、物心ついたころからロシアは「ロ」だったので…。もちろんロシアの漢字略称が「露」であることは知ってはいたんですが。
投稿者: 批評人 日時:2010年12月25日(土) at 00:14