新・ことば事情
4195「裏っ側」
漫画週刊誌『ビッグコミック・スピリッツ』(第49号・小学館)に連載されている、『高校球児ザワさん』(三島衛里子)を読んでいたら、こんなセリフが出てきました。
「オイ守口ィ、とりあえずラブホ入る時はエナメルバッグ名前裏っ側にしてけよ~ 」。
この中の、
「裏っ側」
が機になりました。これは読み方は、
「ウラッカワ」
ですよね。でも「側」の読み方は、
「ガワ」
という濁った読み方だと思います。
そうするとこれは、そもそも「連濁」は音のつながりの密度により成立するので、促音「っ」が、その音のつながりを断ち切ることによって、「濁点」が「清音」に変わったのではないか?と思って辞書を見ると・・・あれ?おかしいな、「側」の読み方が、
「カワ」
と「清音」になっている。ということは、「側」を「ガワ」と読むことは単なる「連濁」で、もともとは「カワ」だったのか・・・。知らなかった。これは私が「関西人」だからですかね?
でも「側」を「カワ」と読んだことはないけどなあ・・・・いつも「ガワ」です。
なんでだろ???
(追記)
NHK放送文化研究所の塩田雄大さんから、すぐにメールを頂きました。関東出身の塩田さんからのメールの内容は、
「私にとっては『こっちっかわ』『むこっかわ』というのが根っこのところにある言い方で、『こっちがわ』『むこうがわ』というのは、小学生ごろにあとから覚えたことば。そのため、『側』を『かわ』と清音で読むことに、これまでなんら疑いを抱きませんでした。」
とのこと。これに対しては、
「やはりそうでしたか。地域差、あるんですね。私としては『ガワ』と濁るとばかり思っていたので、常用漢字表、辞書を見て驚いた次第で、短い文章ですが、すぐに載せました。『側』は『~側』でしか使いませんからね。『一塁側』『三塁側』『こちら側』『あちら側』『縁側』『窓側』『通路側』『日本側の対応』『中国側の立場』『片側通行』『両側』、すべて『ガワ』です。『側』の複合語で『カワ』という言葉は、思いつきません。」
と返事しました。そうこうしていると、今度は同じくNHKで、新聞用語懇談会でご一緒している原田邦博さんからメールが。
「まもなく告示されると思われる改定常用漢字表では、『側』(ソク、かわ)が、『側』(ソク、がわ)に変更になります。」
おお、そうなんだ!「がわ」が追加されるのではなく、
「かわ」⇔「がわ」
と立場が入れ代わるのですね!同じような内容のご意見は、「平成ことば事情」読者の「かくた」さんからも、
「なかなかタイムリーな話題ですね。今月末に告示される予定の改定常用漢字表では、『側』の訓が『かわ』から『がわ』に変更されます。」
と書き込みを頂きました。ありがとうございます。「改定常用漢字表」、読んだけど見逃していたのかもしれません。(忘れているだけかも)
世の中の読み方の流れは、
「こちらガワ」
に来ているようです。
コメント
なかなかタイムリーな話題ですね。今月末に告示される予定の改定常用漢字表では、「側」の訓が「かわ」から「がわ」に変更されます。
投稿者: かくた 日時:2010年11月11日(木) at 14:26