新・ことば事情
4192「くべる」
薪(まき)と石油を使えるストーブでの発火事故が増えているというニュースを、10月28日の日本テレビ「ニュースダッシュ」で伝えていました。その中で、
「薪をくべる」
という表現が出てきました。この動詞、
「くべる」
ですが、「薪」以外に使うことがあるのかな?
「蒸気機関車=SL」では、
「石炭をくべる」
はありましたね。同じく、
「石炭ストーブ」
でも「くべる」は使いますね。しかし「蒸気機関車」も「石炭ストーブ」も、第一線からは身を引いている感じが・・・。今後「薪」が、一般で使う機会が今よりもっと少なくなったら、
「『くべる』も『死語』になって行く」
のでしょうか?
そんなことを考えていて、本を読んでいたら、「くべる」が出てきました。
女優・片桐はいりさんのエッセイ集、『もぎりよ今夜も有り難う』(キネマ旬報社、2010、8、12)の中の、「巴里の空の下ケムリは流れる」というタイトルのエッセイです。
*『学校時代ストーブにコークスをくべた記憶があるのは、何歳から何歳くらいまでの世代だろうか。』
*『日直がバケツでコークスを取りに行き、休み時間に少しずつくべてゆく。』
私が、学校で石炭ストーブを使って、体育倉庫の中に積んであった石炭を取りに行く係をしていたのは、
「小学2年生まで」
だと思います。昭和44(1969年)です。小学校1年のときには、石炭ストーブの煙突にカーテンが触れて、ボヤになったこともありました。小学3年生からは「ガスストーブ」になったような気がします。そうすると、「アポロ11号」が月に着陸した頃に、大阪の堺市では、石炭ストーブが静かに姿を消しかけていたと・・・。翌年、昭和45年(1970年)は、「『人類の進歩と調和』の『大阪万博』」です。もう40年前なんですねえ。
既に「くべる」は「死語」に限りなく近づいているのかもしれません。