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『道浦TIME』

新・読書日記 2010_213

『ことばと思考』(今井むつみ、岩波新書:2010、10、20 )

哲学の書。言語は世界を切り分ける、という第一章に出てくる、色の区別に関しては、鈴木孝夫の『日本語と外国語』(岩波新書)を読んだときに気付いたことと同じ。それをベースにしていると思われる(その本のことも出てくるし)。私と同じだ。「分類」とは「言葉」の問題であると。つまり「認識」の問題。ということは「哲学」ですね。

この本で初めて知ったのは、ドイツ語など「名詞に性別がある言語」と、日本語や中国語の様に「助数詞のバリエーションが多い言語」の対比。これについては「そうなのか!」と「目からうろこ」でした。著者は慶応の教授だが、1989年に大学院単位取得退学とあるからほぼ同世代か、ちょっと下の年代だろう。

内容は興味深いのだが、文章が論文調で読みにくい。一般書的でない。たとえば、

「今あなたの三毛ネコ『ミケ』があなたのひざにのっていたら、庭に見える、家のネコと見分けがつかないほどそっくりなネコが、家のミケではありえないと考える。」

というのは、いかにも悪文。

「もし今、あなたのひざに飼い猫のミケがのっていたら、庭にミケそっくりのネコがいても、それはミケではないと考える」

の方がずっとわかりやすいです。


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(2010、11、7読了)

2010年11月 8日 11:41 | コメント (0)