新・読書日記 2010_222
『ボローニャ紀行』(井上ひさし、文春文庫:2008、3に単行本、2010、3、10文庫本第1刷)
井上ひさしがこんなにイタリアに、ボローニャに入れ込んでいるとは知らなかった。奥さん(料理研究家で、故・米原万里の妹さん)の影響もあるのだろう。
文庫本の紙の質が、懐かしい文春文庫。つまりザラ紙のようで、中学の時に手にした井上ひさしの『ブンとフン』を思い出した。
「一口に『イタリア』『イタリア人』と言っても、街によって様々なんだな」と、ボローニャについて書かれたこの本を読んで感じました。当たり前といえば当たり前なんですが。
また、
「ファシストというのは、このように独特な言い回しをむやみやたらに開発するくせがありますね。生活圏、生存圏、共栄圏、尊き犠牲、血と土、仮想敵国、ならず者国家・・・・・・そしてこの枢軸、みんなそう。古い言葉を持ち出してきて新装開店させる、なんでもない言葉を二つ三つと結合して珍奇な新造語をやたらと製造する、それがくせです。(中略)ファシストは言葉のペテン師。『枢軸』は彼らペテン師の代表作でした・・・・・。」
そうだったのか。でも確かに、ジョージ・オーウェルの『1984』でも、「イングソック」という新しい言葉があったし、「言葉」から実体の人間を絡め取って行くのは、「ファシズム的手法」なのかもしれません。いやあ、勉強になりました。
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