新・ことば事情
4182「早かれ遅かれ」
10月14日の「ミヤネ屋」の放送前に、大沢啓二さんの通夜・告別式のVTRを編集していたディレクターのM君から、質問を受けました。
「張本さんのコメントで『早かれ遅かれ』というのがあったのですが、これは『遅かれ早かれ』に直した方がいいでしょうか?」
実は私もそれは気になって『精選版日本国語大辞典』を引いて見たのでした。すると、なんと、
「早かれ遅かれ」
も載っていたのです!用例は1887-89年の二葉亭四迷『浮雲』でした。もちろん、
「遅かれ早かれ」
も載っていて、こちらの用例は江戸時代(1813-23年)、『滑稽本・浮世床』でした。
他の辞書も調べてみましたが、『広辞苑』『明鏡国語辞典』『三省堂国語辞典』『新潮現代国語辞典』『日本語大辞典』には「早かれ遅かれ」は載っていませんでした。(「遅かれ早かれ」は載っていましたが。)
ということは、「遅かれ早かれ」が生まれたあとに「早かれ遅かれ」が生まれたけれども、定着しなかったということなのでしょうかね?
ネット検索(Google)では(10月15日)、
「早かれ遅かれ」= 6万2800件
「遅かれ早かれ」=27万3000件
でした。思っていた以上に使われているのですね、「早かれ遅かれ」。