新・ことば事情
4174「歯胚」
親知らずのもとになるものから人工多能性幹細胞、いわゆるiPS細胞を作ることに兵庫県尼崎市の産業技術総合研究所が成功したという記事が、9月27日の産経新聞夕刊に載っていました。この「親知らずのもとになるもの」というのが、
「歯胚」
というのだそうです。たぶん、
「しはい」
と読むんでしょうね。ルビは振ってありませんでした。ネットで検索すると結構たくさん出てきて、やはり「しはい」だそうです。歯の専門用語のようですが、「親知らず」に悩む人たちにとっては、そして歯医者さんにとっては「常識の言葉」なんでしょう。しかし、国語辞典には載っていません。「Yahoo知恵袋」という掲示板によると、
「歯胚とは,歯と歯周組織のもととなる細胞の集まりのことを言います。歯胚から我々の目にする歯へ変貌を遂げるまで,蕾状期⇒帽状期⇒鐘状期という過程を踏みながらゆっくりと成長していきます。通常歯が完成してしまえば歯胚は消えてしまいますが、親知らずは成人になる頃生えてくる歯なので,特に若いうちであれば顎の中に埋っている歯胚をそのまま採取できるのです。」
とありました。
生活に密着した専門用語は、意外と国語辞典に載ってないんじゃないかなあと思わせる言葉でした。しかし・・・そんなところからもiPS細胞を作ってしまうなんてスゴイ!
で、これが何の役に立つかと言うと、
「通常使われる皮膚の細胞から作るものよりも100倍以上効率がよく、できたiPS細胞から腸や軟骨、神経、心筋の細胞ができる」
ことが確認されたそうです。そして、
「抜歯の際に捨てられていた親知らずの歯胚細胞から、安全なiPS細胞を効率よく作れた」
ということは、「廃物利用」ですよね。確かにこれはすごいことなんでしょうね。
Google検索(10月11日、日本語のページ)では、
「歯胚」=2万2900件
でした。