新・ことば事情
4169「『よんふん』の理由」
時間の「4分」の読み方ですが、本来は、
「ヨンプン」
と「半濁音」で言います。これは「3分」を「サンプン」と「半濁音」で言うのと同じです。理由は「分」の前の「サン」「ヨン」が、ともに「ン」で終わっているので、次の「フ」(分)が半濁音で「プ」になる、つまり「言い易さ」によるものだとされています。
それが最近、
「サンフン」「ヨンフン」
というように、「半濁音」ではなく「清音」で言われるようになってきていると、以前書きました。(2005年2月の平成ことば事情2079「3ふん前、4ふん前」)
これは「言い易さ」から「覚え易さ」に基準が変わったからだと私は書きましたが、先日ハタと思い当たることがありました。やはり「言い易さ」が原因の一つでないかということなのです。
つまり、同じ「ン」でもその後に「半濁音や濁音になる『ン』」と「そうはならない『ン』」があるのです。
「ン」の発音が、これまでの「m」ではなく「n」に変わってきているのではないか?ということです。「m」の「ン」を発音するには、しっかりと唇を閉じなくてはいけませんし、次に口を開くときにも力が要ります。しかしアゴの骨格の変化や、噛む力、表情筋の動きなどが「弱く」なってきて、本来の「m」の発音が出来ずに、力を入れずに発音できる半分口を開いた「唇がくっつかない『ン』」である「n」の発音に変わってきているのではないか?それによって、「半濁音」ではなく、清音の「フン」になってきているのではないか?という気が、ふとしたのですが、いかがでしょうか?証拠はありません。「ヒラメキ」です。