新・読書日記 2010_189
『茨木のり子集 言の葉Ⅰ(茨木のり子、ちくま文庫:2010、8、10)
ずばり「言の葉」というタイトルの詩集。いくつかの詩集から抜粋したもののよう。茨木のり子さんが亡くなって、もう4年経つか。とっつきやすい口語の詩には親しみがわく。茨木の「詩」のほかに、エッセイ、ラジオドラマの台本・童話・民話・評伝と、幅広い著者の活動をすくい上げている一冊。
中でも、「山之口漠」の評伝が、興味深かった。沖縄出身だったんですね、漠さんは。なぜか三重県出身だと思っていた。佐藤春夫や伊藤光晴との交流など、その時代の中での「山之口漠」像が浮かび上がってきました。
この評伝の中に「沖縄」の語源についても記されていて、奈良時代の文献には、
『阿児奈波(おちなは)』
と出ていると。こうした古い呼び名に「沖縄」という当て字を使ったのだそうです。「琉球」の呼び名は中国が付けたものですが、江戸時代、1609年に薩摩藩主の島津家久が琉球を攻め落とし、支配下に。明治12(1879)年には、日本の「沖縄県」になったのだそうです。
「おちなは」が「おきなわ」になるということは、沖縄の言葉の「ち」は、日本語(標準語)の音の「き」にあたると。つまり沖縄方言の「頑張れ」の意味の「ちばりょう」は、標準語音で言えば「きばりょう」=「気張れ」。ああ、沖縄の言葉も日本語なんだなと感じました(当たり前の話ですが)。
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