新・ことば事情
4140「秋めくの『めく』」
<2008年に書き始めました。当時の番号は「平成ことば事情3429」>
8月7日は「立秋」。暦の上では「秋」です。「ミヤネ屋」でお天気キャスターの小谷さんが、
「これからは『秋めく』といいます」
と言っていたのですが、その、
「めく」
が気になりました。
<ここから2010年9月5日に引き続き書きます>
2年前(おととし)はもう8月7日から「秋めいて」いたのかあ・・・1か月経った9月になっても、今年は全然「秋」めかないぞ!
で、「めく」です。
「秋めく」は「秋らしくなる」「秋っぽくなる」という意味ですよね。(途中で書くのを中断したのは「飽きぽくなったから」ではありません)
「めく」の付く言葉、『逆引き広辞苑』で探してみましょう。(「わめく」のような動詞の語尾の「めく」は、一部除外しました)
「秋めく」「婀娜(あだ)めく」「あわてふためく」「いそめく」「田舎めく」「今更めく」「今めく」「苛(いら)めく」「炒りめく」「色めく」「蠢(うごめ・おごめ)く」「御方めく」「痴(おこ)めく」「おぼめく」「親めく」「かからめく」「かっかちめく」「才(かど)めく」「枯(か)らめく」「唐(から)めく」「儀式めく」「気色(きそく)めく」「煌(きら)めく」「くつめく」「眩(くる)めく」「ごじめく」「こせめく」「こそめく」「ごそめく」「殊更めく」「古文めく」「ごほめく」「子めく」「ささめく」「さざめく」「さばめく」「ざやめく」「さらめく」「ざらめく」「騒(ざわ)めく」「さんざめく」「さんざらめく」「じじめく」「時代めく」「じだめく」「品めく」「上衆(じょうず・ぞうず)めく」「じょなめく」「すためく」「すめく」「ずらめく」「そそめく」「そよめく」「空めく」「ぞろめく」「だくめく」「たじめく」「たらめく」「ちこめく」「ちらめく」「ちろめく」「通(つう)めく」「囁(つつ)めく」「呟(つぶ)めく」「艶(つや)めく」「ときめく」「時めく」「どしめく」「とちめく」「轟(とどめ)く」「轟(とどろ)めく」「どぶめく」「どめく」「響動(どよ)めく」「取り煌(きらめ)く」「蕩(とろ)めく」「謎めく」「夏めく」「艶(なま)めく」「にとめく」「ののめく」「のらめく」「はためく」「花めく」「幅めく」「はらめく」「春めく」「ひさめく」「犇(ひしめ)く」「密(ひそ)めく」「人めく」「ひひめく」「ひょろめく」「ひろめく」「ぶきめく」「ふためく」「ぶめく」「冬めく」「ふらめく」「ぶらめく」「古めく」「ほとめく」「ほのめく」「轟(ほめ)く」「熱(ほめ)く」「惑いふためく」「昔めく」「蠢(むくめ)く」「むずめく」「目眩(めくる)めく」「揺(ゆぶ)めく」「揺らめく」「由(よし)めく」「蹌踉(よろ)めく」「ろりめく」「態(わざ)とめく」「笑いさざめく」「わわめく」
いやあ、「めく」、多いですねえ!!こんなにあるとは!季節は「春夏秋冬+めく」が勢ぞろいですね。
「名詞+めく」以外に目立ったのは「擬音語+めく」「擬態語+めく」でした。
「胸がドキドキすること」を、
「だくめく」
だなんて、全然知りませんでした。初めて知りました。「ときめく」は知ってたけど、あれも胸が「トキントキン」するところからのようですね、こうなると。擬音語かあ。
また、「ろりめく」は、「ロリコン」とは全く関係なく、意味は、
「恐怖・心配などのために落ち着かず、興奮する」
だそうで、17世紀初頭(1603年)にポルトガル人によって編まれた『日葡辞書』に載っているそうです。それにしても、なんでも「めく」をつければ、日本語としてありそうな感じになってきましたねえ。あ、ズバリ「めく」があった!
「めく」(接尾)=「体言・副詞などに付いて、五段活用の動詞を造る。特にそう見える。そういう感じがはっきりする。」
ということですね。