新・ことば事情
4131「尊皇攘夷」
世の中何が起こるかわかりません。びっくりすることが多い昨今ですが、先月(8月)びっくりしたのは・・・東京・足立区の「111歳」男性が、実は随分前に死亡していたことが分かったことに端を発した「超高齢者生存不在問題」。8月26日はついに、山口県防府市で「186歳」、その後、長崎県壱岐市で生きていれば「200歳」の人まで出てきました。生きていないと思いますけど。いったい、どないなっとんねん?
よく事情を聞いてみると、「戸籍」の方は「削除」が義務にはなっていないみたいで、どうしても後回しになっている間に忘れられてしまったり、戦争や諸々の事情で「死亡届」を出せる人が誰もいなかったりと言うこともあるようです。現住所での「住民票」とはまた違った事情もあるようですが、それにしても・・・。
さて、そういったニュースを伝える時に、
「生きていれば、西郷隆盛と同い年」
だとか、
「生きていれば森鴎外と同い年」
といった比喩が出てきました。笑った(ちょっと怒った)のは、
「生きていればエジソンと同い年」
って、「エジソン」はアメリカ人だから接点はなかろう!と。日本人の著名人がその年にはいなかったんでしょうけど・・・。
とにかく、100年以上前の幕末から維新の頃が、現代に直接つながっているのだということを思い起こさせてくれたという功績は、ある意味ではあったのではないかと思いますが。
そのニュースを読もうとしていた「ミヤネ屋」の「ヨミ斬りタイムズ」のコーナー担当のYアナウンサーが、なにやら困った様子を見せています。
「ソ\ンノー・・・ジョ/ーイ」
・・・て、それってもしかして、
「尊皇攘夷」
のこと?おいおい、そのアクセントはないだろう!と、梶原しげるさんばりに憤慨。当然ここは、
「ソ/ンノー・ジョ\ーイ」
しかないでしょうが。も、そしかして「尊王攘夷」という言葉知らないのか?念のため聞いてみると、
「ソンノー・・・・王様を尊敬する・・・あ、天皇を敬うということですか?」
そうだよ、わかってるじゃないか。じゃあ「攘夷」は?と問いかけると、なんと、Yアナウンサー、
「質問が聞こえなかったふり」
をするではないですか!知らないなら正直に「すみません、勉強不足です」と言いなさい!
やはりこれは「日本史」を必修にしないといけないのかなあ。受験勉強で、面倒なものはやらなくても受験できるシステムに「問題あり」だと思いますね。ま、システムがどうであれ、本当にやる気のある人はやるのですが、そこまで個人(全員)に求めるのは酷なのかもしれないですから・・・。
(追記)
メモが出てきました。
山口186歳=1824年・文政7年。勝海舟誕生の翌年。
滋賀・甲賀の182歳=1828年・文政11年。西郷隆盛の一つ下。第十一代将軍・家斉の時代。
伊藤博文が生まれる前年の1840年・天保11年生まれの人も。
「戸籍上生きている」=「超高齢者問題」。
こうなると、「尊皇攘夷」も「現代用語」ですね。
コメント
スポーツ新聞の一面トップ記事に、
「森鴎外と同級生」
というのがありました。一瞬、「!?」。「同級生」の近年の拡大用法と、森鴎外の組み合わせに意表を突かれました。
投稿者: 西尾@川崎市 日時:2010年09月06日(月) at 00:56