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『道浦TIME』

新・読書日記 2010_179

『アリアドネの弾丸』(海堂尊、宝島社:2010、9、24)

 

オレンジ色の派手な表紙が目印。宝島社の海堂シリーズは、黄色・赤・緑と派手な表紙で、構図もよく似ている。

グチ外来の田口先生とロジカルモンスター・白鳥氏のコンビが戻ってきた!のみならず、オールスター・キャストと言ってもいい海堂ワールドが展開!海堂さんも「本家」の宝島社の単行本だと、スピン・オフ的作品よりも気合が入るのかな?タイムリミットのあるストーリーなのでスリルもあり、大変スピード感のある面白い作品に仕上がっている!

特に(・・・まあ、ちょっとネタ晴らししてもいいと思うけど)次の記述は、リアルワールドで展開された厚生労働省の村木局長を巡る事件を髣髴させる。

「俺は背筋が寒くなった。警察がそういう風に情報を使えば、そうなってしまうものだ。市警の連中も、自分を守るためには小さな虚偽を平気で言うかもしれない。」

「捜査や司法は、真実よりも、真実らしく見える方を重視する。真実をつきとめるより、過去の事象を自分たちのストーリーに当てはめ、それに合わせて事実を改変する。もっともこうしたことは、社会科の教科書には一行も書かれてはいないのだが。」

まさに村木局長を巡る証拠品・フロッピーディスク改ざん事件ではないか!

うーん、フィクションとは思えないリアルさが伝わってくる。AIセンター設立を巡る今回のお話も、実は、海堂さんが実社会で面しているのとパラレルの実体験ではないかとさえ思わせる。

 


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(2010、9、29読了)

2010年9月30日 21:47 | コメント (0)