新・読書日記 2010_143
『春の草~私の生い立ち』(岡潔、日経ビジネス人文庫:2010、7、1)
この文庫本(日経ビジネス陣文庫)の雰囲気は、「双葉文庫」のような感じ。呉英智を思い浮かべる。いしいひさいちと。好きな感じ。
「岡潔」は、「2010読書日記104」で書いた小林秀雄との対談集『人間の建設』(新潮文庫)で知って、家の近くの書店の「岡潔」の本が並んでいるコーナーで手に取ったのがこの一冊。今、改めて「帯」を見てみると、
「天才は、いかにして生まれたのか~教育再生に揺れる今、すべての日本人に問う 偉大なる数学者の『私の履歴書』」
とある。あ、そうか「日経文庫」か。なるほど、昔の「私の履歴書」から、なんだ、この本は。道理で字が大きくて写真も入っていて・・・言われてみれば「私の履歴書」です、間違いなく。
ということで、「岡潔」という人の成り立ちがよくわかる一冊です。岡さんは「春」が好きだったらしく、毎日新聞で連載したコラムも「春宵十話」。これも読みたいなと思っています。(その後、すぐに読みました。)
こういった本を読むと、岡さんと中谷宇吉郎、そして寺田寅彦、漱石といったラインがつながって、岡さんにはもちろん会ったこともないけれど(少し時代も違うけれど)、会ったことがある人のように思えてくるのが不思議です。ちっとも古くないです。
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