新・読書日記 2010_141
『オノマトピア~擬音語大国にっぽん考』(桜井順、岩波文庫:2010、7、16)
著者は1934年生まれのCM作曲家。この本は、現在書き下ろされたのではなく、1986年に出た本に大幅に加筆したもので、第3部にいたっては1971-72年に出たもの。昔のものを、昔のものとわかって読むのは、資料的価値もあり勉強になるのだが、これは困ったことに、「大幅加筆」したおかげで、「時制」が分からなくなっているので、読んでいて大変混乱する。「いつの時点の視点で書かれたのか」が分からないことによって、これほど読んでいて困惑するとは思わなかった。「加筆した部分」は、その旨が分かるような書き方を、なぜしなかったのか、疑問である。江戸時代の本を読んでいたら、急にパソコンが出てきたようなものである。
それはさておき、内容はさすが作曲家、発音に関する分析のプロだなあと思う部分が多々あった。リズムと擬態語から、日本語を幅広くそして深く考えることが出来る一冊。
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