新・ことば事情
4104「最少級」
アサヒビールが出しているチューハイ「アサヒSlat(すらっと)」という商品のCMを見ていたら、
「果肉が入ってカロリー最少級」
と言っていました。
「最大級」は聞いたことがありますが、「最少級」は初めて聞きました。もちろん「級」が付かない「最少」はよく使う言葉ですが。
Google検索では(8月18日・日本語のぺージ)、
「最少級」= 2250件
「最大級」=5040万0000件
やはり圧倒的に「最大級」の方が使われていますね。「最少級」という言葉の使われ方は、言葉どおり「最少級」です。ざっと見たところ、ほとんどがこの「すらっと」関連のもの。もしくは「最小級」と書くべきところを間違って「最少級」と書いてしまったもののようです。ということは、この言葉を「造った」のは、「アサヒ」さんなのかな?(広告代理店さんかな?)
家電製品ではもう数年前から、
「最薄(さいうす)」
という言葉が出来て、どんどん「薄さ」を競っていますが、アルコール飲料業界では数年前に「ゼロ」が流行、「糖質」や「脂質」、「プリン体」などが「ゼロ」なってきて、ついに今年は、「アルコール・ゼロ」の、
「ビール味のアルコール風飲料」
が大人気のようですが、「アルコール・ゼロ」なら、もう「お酒」とは言えないわけで、そうすると、
「会社で勤務時間中に(缶コーヒーを飲むように)アルコール風味のアルコール・ゼロの飲料を飲んでもいいのか?」
「車を運転しながら、アルコール・ゼロのアルコール風味飲料を飲んでもいいのか?」
「子どもがアルコール・ゼロのアルコール風味飲料を飲んでもいいのか?」
という問題が出てきます。(出て来ないですか?)
これってOKなんでしょうか?
我が家でも中1の息子が、「アルコール・ゼロ」の缶飲料を指さして、
「これって、ボクが飲んでもいいんやんな?」
と聞いてきたので、即座に、
「アホか、アカンに決まってるやないか」
と答えたら、
「だって、お酒とちゃう(違う)んやろ」
と言われて、グッと言葉に詰まりました・・・。
法律的にはOKですが、結局、
「倫理的に」「世間的に」
というところが判断材料になるわけですが。
もし、これがクリアされて、みんなが平気で職場で(缶コーヒーを飲むように)アルコール風味のアルコール・ゼロ飲料を飲むようになったら・・・おそらくそれにまぎれて、
「本物のアルコール(=ビール)」
を昼間から会社で飲むヤツが出てくるのではないか、車を運転しながら本物を飲むヤツが出てくるのではないか。
そう考えると、やはりここはアノ言葉、
「李下に冠を正さず」
でしょうね。
「机下(きか)に缶ビール(風飲料)を飲(いん)さず」
というところでしょうか。
念のため、「小」を検索すると
「最小級」=3万3600件
でした。なお、その「最少級」のカロリーは、1缶(350ミリリットル)あたり「88キロカロリー」なんだそうです。