新・ことば事情
4099「まあ、ぼんやりとは認識している」
8月3日に読売テレビの夕方の番組『かんさい情報ネット ten!』で、天橋立の町起こしのイベントとして「コスプレ大会」が計画されたという話題を、特集で放送しました。
その中で、コスプレイベントを企画した市役所の観光課の女性から、
「コスプレって、知ってますか?」
と聞かれた、天橋立の地元・京都府宮津市の井上市長が、こう答えていました。
「まあ、ぼんやりと認識している」
これって、政治家用語ではなく普通のコトバに翻訳すると、
「知らない」
ということですよね。「知らない」の「婉曲表現」です。なぜこのような言い方になるのか、井上市長の心のうちを推測すると、
「『「知らない」とダイレクトに答えると、『関心がない』と受け取られて、せっかくの提案に否定的な見方をしていると思われるおそれがある。決して熟知しているわけではないし、それどころか、ほとんどよくわからないが、そういったことをやること自体の是非については、知っている・知らないの次元を越えて考える必要があると思い、真摯に対応する気持ちの準備はある」
というようなことを一言で答えようとすると、
「まあ、ぼんやりと認識している」
という一言に集約されるのではないでしょうか?
政治家は、えてして直接的な表現を避けるということが、この一言に見事に凝縮されているなあと思いました。もちろん、なぜそうなるのかは、
「発言に大きな責任を伴う立場だから」
「影響力が強いから」
ということですが。
コメント
8月12日放送の「ケンミンSHOW」から。『大阪人が「行けたら行くわ」と言ったら、それは「行かへん」ということだ。』というのがあった。同様に、『勧誘に対して「考えとくワ」と言えば「100%拒否」』というのもあった。確かに、よく使う言葉だ。大阪人は、政治家用語を大阪弁でしゃべっているだけなのかもしれない。
投稿者: yoshi-q 日時:2010年08月20日(金) at 13:14