新・読書日記 2010_138
『桐島、部活やめるってよ』(朝井リョウ、集英社:2010、2、10初版・2010、3、30第5刷)
「第22回小説スバル新人賞」受賞作品。ずいぶん前に、読売新聞の書評欄で、小泉今日子が激賞していたっけ。
自分では買わなくて、妻が買って読んで「もう全然、つまらなかった」と言っていたので読まなかったのだが、なぜだか気になっていて、ある日リビングの机の上に置いてあったので読み出した。
たしかに最初は文章が読みにくい。若者言葉を文字化されると読みにくいということか。しかし、徐々に馴染んでくると、話も面白くなってくる。
菊池宏樹、小泉風助、沢島亜矢、前田涼也、宮部実果という5人の高校生の立場から、章ごとに語られる形式。最後に菊池宏樹に戻る。
全体としてのお話は、何気ない「青春スケッチ」だが、話の中で重いというか「物語だな」と思うのは、宮部実果の話。ここだけ読んでもいいかもしれない。「青春スケッチ」と言ってしまえばそれまでだが、誰もが青春時代・高校時代に少しだけ戻れる小説、か。
ちなみに、著者は現役の大学生。まさに(ほぼ)リアルタイムの青春を生きている中での小説・・・と、遥か昔に青春を過ごした者からは思うが、大学生にとって高校時代は、「既に確定した過去」なのかもしれない。
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