新・読書日記 2010_136
『ニッポンの海外旅行~若者と観光メディアの50年史』(山口誠、ちくま新書:2010、7、10)
最近の若者は、海外旅行に行かなくなっている。これは『内向き』になっている証拠で、情けない。けしからん。バーチャルな世界に閉じこもっているから、そんなことになるんだ。そんな論調がある。というか、私もそうだと思っていた。しかし、若者が海外旅行に行かなくなったのは最近のことではなく、もう10数年前からだった。
この本は、若者を海外に駆り立てた「ガイドブック」の変化を通して、どういう形で若者たちが「海外」へ憧れを持っていったかということを、解き明かしてくれる。その意味では「ガイドブックから見た若者論、社会論」と言える一冊。これを読むと、私もしっかり「ガイドブック」と時代の波に乗って踊らされていたんだなあと感じた。「地球の歩き方」「深夜特急」「個人旅行」・・・そしてネットの時代。旅の形はこれから、どう変わってゆくのかなあ・・・。
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