新・ことば事情
4092「プルシアンブルー」
(2009年10月26日にメモしたものに加筆しました)
去年(2009年)の10月、東京に行く機会があったので、上野の東京国立博物館で開かれていた、
「『ご即位20年記念特別展・皇室の名宝』
を見に行きました。その中で、一番見たかったのは、
「伊藤若冲」
「若冲(じゃくちゅう)」といえば、このところ人気急上昇中の江戸時代の絵師ですね。
この展覧会で注目の一つだったのは、「群魚図(鯛)」の「ルリハタ」に、
「プルシアンブルー」
という人工顔料が、日本で初めて使われたということだと、たしか日経新聞に書いてありました。注目して作品を見たら、確かに引き込まれるような不思議な色合いのブルーでした。
「プルシアンブルーの瞳」
とかいうタイトルの曲、安全地帯か、柳ジョージか何かで、なかったでしょうか?(安全地帯、玉置浩二の『プルシアンブルーの肖像』でした。)
さて、それから数か月。先日読んでいた片岡義男『文房具を買いに』(角川文庫)というカラー写真を多用した文庫本の中に、こんな一節が。
「青鉛筆の青はブルーではない、プロシアのブルーだ。」
あ、そうか「プルシアン」は「プロシアの」の意味か!
ドイツのマイセンの「赤」が「マイセン」でしか出せないように、「プロシア」でしか出せない青、それが「プルシアンブルー」なのではないか?と、「色の名前の由来」に気付いたのでした。
「ウィキペディア」によると「プルシアンブルー」は、「紺青(こんじょう)」で、
「鉄のシアノ錯体に過剰量の鉄イオンを加えることで、濃青色の沈殿として得られる顔料である。日本古来の天然顔料である岩紺青と区別するために花紺青と呼ぶことがある。ただし一般的には花紺青とはスマルトの別称である。Color Index Generic NameはPigment Blue 27である。この顔料に由来する色名としての紺青(プルシアンブルー)が存在する。」
だそうです。『広辞苑』でも「プルシアンブルー」を引くと「『紺青②』を見よ」となっていて、
「紺青」=②青色顔料。ヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸塩(フェロシアン化物)の溶液に硫化鉄(Ⅱ)を加えてできる白色沈殿を、塩素酸ナトリウムで酸化して製する。印刷インク・絵具・塗料などに用いる。ベレンス。タンブル青。プロシア青。ベルリン青。」
とありました。
おりもおり、京都細見美術館所蔵の作品を展示した「琳派若沖と雅の世界 」展が9月に大丸神戸店で行われると(ちょっと先だけど)。報道フロア招待券が置いてあって、誰ももっていきそうになかったので、もらっちゃった!
そのチラシに載っていた若沖の「アヒル」の絵を見て、「バベルの塔」や「スケート」の絵を描いた「ブリューゲル親子」を思い出しました。なんか、タッチが似ている感じがして。日本画と洋画の融合を思わせますねえ。
若沖は1716年生まれで没年は1800年ですから、正に18世紀の人。ブリューゲルは16世紀の人ですが、オランダ・フランドル絵画は17世紀に入ってもその伝統が続いていたようですね。その後、ルーヴルのフランス絵画は18世紀1700年代で、若沖と年代が重なります。家に帰って、これまでに観に入った展覧会の分厚い解説本を何冊か引っ張り出して、見比べてしまいました。