新・ことば事情
3946「生ライブ」
千原ジュニアとケンドー小林のトーク番組『にけつッ!!』(読売テレビの制作です)の4月21日の放送を見ていたら、
「船上生ライブ」
なる言葉が出てきました!
「"生"ライブ」
って...「生」でない「ライブ」があるんかい!?しかもその模様を「録画」して放送しているのに・・・。つまりなんですか、
「生ライブの録画放送」
を見ているわけですか、私たちは。
という理不尽な思いは置いておいて、なぜこんな「生ライブ」なる言葉が出てきたか?
うーん、あ、そうか、ここで言う「ライブ」というのは、
「コンサート」「演奏」「(演劇や漫才、トークなどの)舞台」「ステージ」
のことで、「生」なのか「録画」なのかは意味していない。こういったものはこれまでは「生」が当たり前だったけど、それが収録したり中継されて本当の意味で「生」じゃない形で提供されることも増えてきたと。その中で、本当に「生」であるということを強調するために「生」とつけたと。「ライブ」は直訳した「生」の意味ではなくて「コンサート」「(演劇や漫才、トークなどの)舞台」「ステージ」「演奏」の意味であると。
意味の分化が起きたことと、強調語としての「生」という漢字・一文字の言葉が出てきたことで(参考:平成ことば事情3919「生ゲンカ」)、
「生ライブ」
という言葉が生まれたのではないか。うーん、不思議なもんですな、言葉って。
『三省堂国語辞典』で日本語としての「ライブ」を引いてみたら、
「ライブ」(1)なま演奏(のコンサート)。また、舞台での演奏。(例)「ライブ盤」「ライブ活動」(2)<ラジオ・テレビの>実況(放送)。現場中継。
うーん、まあそうですね。「ライブ盤」は「生演奏の録音記録」ということで・・・でも「生演奏でない録音記録」ってあるのかな?山下達郎が一人でバックコーラスもやってしまったものなどはそれにあたるか?そちらの方が例外的?でも「カラオケ」で歌っている様子を録音すれば、生演奏でないものと生演奏がミックスされたものの録音になるな・・・混乱してきました。
あと、
「(千原)ジュニア」
のことを「さん付け」で呼ぶ時に、
「ジュ/ニアサン」
と「平板アクセント」なのにも驚きました。
(2010、4、22)
(追記)
日経新聞に挟み込まれている「日経REVIVE(リヴァイブ)2010年6月号」という情報紙は、「音楽」「LIVE」を楽しもうという特集でした。その中で、
「(音楽の)醍醐味を存分に味わうためには『生』をお勧めしたい」
として、「生」を使った言葉が3段階で紹介されています。。
「LIVE 生音を堪能しよう。」
「PLAY 生演奏を楽しむ。」
「BAND 生ライブに挑戦。」
ここでも「生ライブ」が出てきました。